変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>29.バーテックスリンク

2004/07/26 20:43

週刊BCN 2004年07月26日vol.1049掲載

 マザーボードやパソコン周辺機器の開発・販売会社として成長してきたバーテックスリンクも、セキュリティを中核ビジネスとして飛躍させようと目論んでいる1社だ。従来のメインビジネスであったパソコン関連機器、マルチメディア機器の販売に加え、医療施設向けシステムインテグレーション、そしてセキュリティ製品の販売も手がけている。セキュリティ市場への参入は、約8年前とセキュリティベンダーの中でも古い。だが、当時は海外製のURLフィルタリングソフトの販売のみで、「セキュリティを積極的に推進していたわけではなかった」(印牧裕二・ソリューション事業本部本部長)。セキュリティという、かつては地味だった分野だけに、約8年前の段階では積極的な品揃え、拡販施策を打てなかったようだ。

コンテンツセキュリティを切り口に

 だが、最近では、セキュリティはIT投資の中でも筆頭に挙げられる急成長分野へと成長してきた。セキュリティ投資が拡大するなか、本格的にセキュリティビジネスを強化したのが約1年前。URLフィルタリングで培った販売網とノウハウ、約1000社に導入した実績を武器に、「コンテンツセキュリティ」を切り口とした事業展開を模索してきた。その中で選び出したのがURLフィルタリングやウイルス・スパム対策、SSL(セキュアソケットレイヤ)スキャン機能など7つの機能を包含した統合セキュリティソフトの販売だ。この統合セキュリティソフト「ウェブウォッシャー」の販売が、セキュリティビジネスを拡大させる転機となった。発売後約1年間で大企業を中心に約30社への導入実績があり、今年度は約100社10億円のビジネスへ成長させようと強気だ。

 SSL-VPNで通過するデータの中身をチェックできるSSLスキャンが人気を集めているとともに、ウェブメールやインスタントメッセージングのスキャン機能も搭載。幅広いウェブアプリケーションに高いセキュリティ対策を講じられることが、情報漏えいに敏感になっている顧客のニーズに合致した。また、複数の機能をパフォーマンスを落とすことなく運用・一元管理できることが他社との差別化につながっている。今秋には、アプライアンスでの提供も決定しており、セキュリティビジネス拡大に拍車をかける方針だ。

 いっそうの拡販を図るために、印牧本部長が課題に挙げるのが販売網の拡充。製品ラインアップの強化に関しては、「一段落の状況」(印牧本部長)だが、6社の販売パートナーを通じた販売ではまだ手薄とみている。早い段階で販売パートナーの数を2倍以上に増やす考え。さらに、自社で対応できない顧客のニーズに対応していくためには、他のセキュリティベンダーやコンサルティング企業との協業も必要になってきているという。(木村剛士)
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