変革セキュリティビジネス

<変革セキュリティビジネス>31.ネットマークス

2004/08/19 20:43

週刊BCN 2004年08月09日vol.1051掲載

 「コンサルティング」、「ネットワークとセキュリティの統合ソリューション」――。ネットワークインテグレータ大手、ネットマークスのセキュリティビジネスの指揮を執る鷲見晴美・執行役員インターネットソリューション事業本部本部長に話を聞くと、この2つのスキルがセキュリティビジネス拡大のキーワードとして浮かび上がる。セキュリティポリシーの作成からその運用などシステム構築以前の上流工程を手がけられるコンサルタントと、ユーザーのネットワーク環境に合わせて、セキュリティ製品を選定し構築が行える技術者の確保が重要になっていることを指す。

ビジネス拡大に2つのスキル

 鷲見執行役員は、「情報漏えいを防ぐためのシステムの提供では、ユーザーの現状を的確に把握し最善の方法を提案できるコンサルタントがいなければ、顧客満足度は高まらない」とコンサルティングの重要性を説明。また、統合ソリューションについては、「ネットワークとセキュリティのカテゴリーの垣根が最近ではなくなってきている。“ネットワーク専門ベンダーです”とか、“セキュリティ専門ベンダーです”では、ユーザーの要件は満たせない。これではいつか淘汰されてしまう」と強調する。ネットワーク構築ビジネスで業績を拡大してきた同社でも、セキュリティビジネスの強化が事業全体のカギになると認識している。

 特にコンサルティング分野では、強化施策を積極的に打っている。コンサルティング事業強化では6月下旬に、専門のコンサルティングチームを結成した。情報セキュリティシステムの企画、設計、構築などに10年以上従事したスタッフ5人で構成するセクションだ。この専門集団が情報漏えい対策をはじめとしたセキュリティコンサルティングビジネスを第一線で引っ張る。また、案件の増加に備え、セキュリティコンサルティングを手がけるベンダーとの協業体制確立に動き出した。現在は2-3社のセキュリティベンダーとアライアンスを組んでいるが、今後も数社増やす考えで、「セキュリティビジネスの基盤を作る」と、組織作りを急いでいる。

 コンサルティングのほかに、ニーズが拡大している領域として情報漏えい対策を挙げている。「外部アタック対策から、社員のアクセス管理などの内部セキュリティ対策に需要が移行している」(鷲見執行役員)ことで、内部セキュリティ対策製品のキラーアプリケーションとして、「個人認証」製品の調達を強化している。個人認証関連の製品は、クライアントに導入する製品が多いことから、「ゲートウェイに1つ設置するような製品よりも安価だが、1社に導入する数が多く、売り上げも大きい」(鷲見執行役員)。どのアプリケーションにも1つのログインでアクセスできるソフト「セキュアスイート」を中心に拡販を図っている。(木村剛士)
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