“一技の長”を探る システム構築ビジネス争奪戦

<“一技の長”を探る>69.日立システムアンドサービス

2004/09/13 20:43

週刊BCN 2004年09月13日vol.1055掲載

 日立システムアンドサービス(中村博行社長)は、社内に分散しているセキュリティ商材を統合し、提案型のソリューションとしての整備を進める。今年度(2005年3月期)末までをめどに、一通りのセキュリティ体系を構築する。今年8月1日付で新設した「セキュリティソリューション推進センタ」が中心となってセキュリティ体系の整備を行う。

セキュリティ商材を体系化

 これまで各事業部門がそれぞれの立場でセキュリティ商材の拡充を図ってきたが、「部分最適のセキュリティから全体最適のセキュリティへと質を高める」(眞木正喜・執行役企画本部長)と、より高度な提案を実現するためにセキュリティソリューションの拡充を進める。顧客企業にとっての全体最適を図るには、セキュリティを定義するセキュリティポリシーを決める段階から参画する必要がある。セキュリティ体系を整備した後は、上流工程からの提案で競争力が大幅に高まる見通しだ。

 もともと同社では、セキュリティ商材の品揃えで優位性を高めてきた。米クリアキューブのセキュリティ性能の高いブレードクライアントコンピュータ(ブレードPC)や、不正接続を防止する自社開発のソフトウェア「オープンネットガード」、同じ日立グループの日立ソフトウェアエンジニアリングが開発した暗号化ソフト「秘文」など、さまざまな商材を取り扱っている。これら商材を体系立てることで、顧客企業にとって最も投資対効果を引き出せるセキュリティ提案に力を入れる。

 眞木執行役は「システムインテグレーション事業とセキュリティ事業の相乗効果を高める」ことに主眼を置くことで、既存のシステムインテグレーション事業と密接に連動するセキュリティソリューションの構築に努めると話す。顧客への提案の段階からセキュリティソリューションを埋め込んだコンサルティングを可能にし、ビジネスのボリュームを拡大させる。

 従来のセキュリティ製品を個々の事業部が個別に販売する方式では「それぞれの分野で単価競争に巻き込まれる危険性が高い」(眞木執行役)と、競合他社の類似製品との価格競争に巻き込まれやすく、一旦値崩れが始まるとビジネスとしての魅力は急速に小さくなってしまうと指摘する。セキュリティソリューション推進センタは、これらセキュリティソリューションの拡充により06年度(07年3月期)通期で100億円の増収を見込んでいる。(安藤章司)
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