未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>56.システムズ・トラスト

2005/12/12 16:18

週刊BCN 2005年12月12日vol.1117掲載

「CWAT」の販売から自社製品を開発

 システムズ・トラスト(小野寺康一社長)は、TISが90%出資するITベンチャー。設立は2003年8月で、創業してまだ2年余りだが、情報システムの運用支援コンサルティングサービスやセキュリティシステムの構築事業で実績は高い。

 セキュリティ分野では、インテリジェントウェイブ(IWI、山本祥之社長)が開発した内部情報漏えい対策ソフト「CWAT(シーワット)」の販売実績が35社、2万クライアントに達した。「CWATの販売実績のうち、全販売パートナーのなかで2番目に多い実績」(東修平営業本部営業部課長)という。CWATの導入企業数は約240社(05年7月時点)であることから、システムズ・トラストが全体の7分の1を占めていることになる。同製品を活用したASP(アプリケーションの期間貸し)サービスもIWIと共同で立ち上げている。

 「導入・運用が困難」といわれる情報漏えい対策ソフトのインテグレーションサービスで、存在感を示し始めている。

 10月下旬からは新たな事業展開にも着手した。これまでは導入や運用などのサービス面にリソースを集中、ソフトはすべて他社から調達していたが、10月下旬に初の自社開発ソフトで、ログ管理・分析ツールの「Log Tracker(ログトラッカー)」をリリースした。

 同製品は、CWATが作り出すログ(情報の記録)を容易に管理・分析するツールで、「CWATの導入企業から簡単にログを分析したいとのニーズが今年5-6月に急増した」ことから、自社開発に踏み切った。ソフトとハードを組み合わせた専用アプライアンスとして350万円で売り始めた。

 自ら販売してきた顧客に直接アプローチするだけでなく、CWATのパートナーにも担いでもらえるような仕組みを整えていく。今年度(06年3月期)中に30社、来年度までに100社への販売を計画している。

 また、CWATが米国や欧州などの海外市場でも販売しているのを受け、ログトラッカーも多言語対応した後、海外で販売していく計画だ。さらに、今はCWATだけしか対応していないが、今後は他の情報漏えい対策ソフトへの対応も検討している。「すでに数社から声がかかっている」状況。「ログトラッカーfor××という横展開ができたら」と東課長は期待を寄せる。

 システム運用コンサルティングとセキュリティシステム構築事業で強みを維持しながら、ソフトメーカーとしての新たな顔もアピールしていく。(木村剛士)
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