IT Stock Frontline

情報サービス企業の株価上昇

2006/09/04 16:04

週刊BCN 2006年09月04日vol.1152掲載

「内部統制」の追い風を享受

 野村総合研究所(野村総研)の株価が1月につけた年初来高値1万5710円を7か月ぶりに更新するなど、情報サービス企業の株価上昇が目立っている。

 業績の上方修正が、野村総研の株価上昇の要因。先に発表した4-6月期決算が予想を上回ったことから、2007年3月期の経常利益を当初の385億円から425億円(前期比11%増)に上方修正した。得意とする証券、銀行向けのシステム開発が伸びているため。7-9月期以降も、野村証券系のネット証券であるジョインベスト証券のシステム増強や、セブン&アイ・ホールディングス向けの電子マネーシステム関連の受注が見込まれる。中期的には郵政公社向けの大型案件が控えている模様で、収益拡大に対する信頼度が一段と高まっている。

 野村総研をはじめ情報サービス産業の事業環境は明るさを増している。団塊の世代が大量退職を迎える「2007年問題」によって、旧型システムのメンテナンス要員不足という事態が起こる。企業が情報システムに求める高機能化ニーズと合わせて、基幹システムの更新需要の拡大が見込まれる。また、会社法、日本版SOX法(企業改革法)によって企業は内部統制の強化が求められ、情報サービス企業にとってはビジネスチャンスが拡大することになる。

 日本オラクルの06年5月期決算は売上高、利益ともに過去最高を更新したが、内部統制対策のERPの売り上げ好調も要因のひとつだ。中堅企業に強みを持つオービックの業績も拡大している。

 また、株価が高値を更新してきたCRCソリューションズは今年10月に同じ伊藤忠系の伊藤忠テクノサイエンス(CTC)と合併の予定。CTCの4-6月期は通信業界向けの受注好調もあって経常利益がほぼ倍増した。下期には合併効果が出ることも期待される。(有賀勝久)
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