未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>92.プラスソフト

2006/09/11 20:44

週刊BCN 2006年09月11日vol.1153掲載

手書きソフト一筋15年

 プラスソフト(竹花利明社長)は、1999年の創業以来、手書きソフト「PenPlus(ペンプラス)」の開発・販売のみに絞り込んで事業展開する。創業者の竹花社長と清水真史副社長は、タブレット機器最大手メーカーで、手書き入力した画像データを、テキストに変換する研究を約15年前にスタート。99年にスピンアウトし、プラスソフトを設立した。「手書きソフトは必ず役に立つ」と判断し、「ビジネスで使えるソフト」の開発を進めてきた。

 ビジネスが軌道に乗り始めたのは、設立から1年経った00年のこと。大手電子ボードメーカーの依頼で「ワード」や「エクセル」に手書き文字を張り付ける「アノテーション」機能を付加したソフトを開発し、実用性が認められた。ワコム製タブレットにバンドルが決まり、このことでPCメーカーなどから引き合いがくるようになった。

 ソニーの「VAIO U」などにバンドルされている「PenPlusパーソナル」は、ワードやエクセル、メーラーに手書きメモを張り付ける機能を持つ。また、教育市場や電子会議向け製品「PenPlusプロ」は、「PenPlusパーソナル」の機能に、PC画面をホワイトボードのように使用できる機能、画像を張り付ける機能、文字テキスト、図形を作成する機能を加えた。さらに、開発者向け製品「PenPlusデベロッパー」は、電子カルテソフトなどに組み込み利用されている。

 今後は電子カルテ市場、教育市場に力を入れていく。電子カルテの普及率はまだ約10%だが、徐々に広まりつつあるからだ。教育市場は「NHKの無料動画配信が始まるなど、マルチメディアに対応したIT授業への意識が高まってきた」(清水副社長)ことが追い風になると読む。

 今年中にウィンドウズビスタ対応の「PenPlusパーソナル」と「PenPlusプロ」のver2.0を発売する予定。動画上に手書きできる機能などを追加して教育市場を中心に拡販する。

 「PenPlusデベロッパー」ver5.0の発売も計画中。ビジュアルスタジオ2005に対応し、図形を回転する機能を増やした。

 海外展開にも注力する。自動的にソースを他言語に変換するソフトを開発。ハードメーカーと協力し韓国、台湾で展開中の海外事業をさらに進める。

 「手書きソフト市場はこれから伸びる。タブレットや手書きソフトと親和性の高いビスタの発売で、さらに広がるだろう」とみている。競合他社が参入しても、15年かけて培った技術力と知識で「負ける気がしない」(竹花社長)と自信をみせる。現在年商は4000万円だが、5年後には1億円を計画している。(鍋島蓉子)
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