未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業 

<未来を紡ぐ 挑戦するソフト開発企業>114.アイビィ・コミュニケーションズ

2007/02/19 20:44

週刊BCN 2007年02月19日vol.1175掲載

カスタマイズ可能なIM

 インスタントメッセンジャー(IM)ソフト開発・販売のアイビィ・コミュニケーションズのトップ、永沢和義代表取締役は同社設立前にネットワークハードメーカーでマーケティング業務に従事。ベンチャーキャピタルの事業展開も支援していた。転機は1990年代後半。IMが流行り出した頃、社内の仲間同士でIMを使っていて「便利だし顧客とのコミュニケーションに使えないか」と考えた。また、ベンチャーキャピタルの仕事で起業家と話すうち、「起業していないのに、同じ目線でモノは語れない」と会社を起こした。

 同社のIMツール「AIVYTalk(アイビィ・トーク)」は、ウェブブラウザをインターフェースにし、IMを使っている人を呼び出す。特徴的な機能である「グループコール」は、たとえばユーザーサポートで利用した場合、顧客がウェブサイトから問い合わせすると、担当グループのメンバー全員に呼び出しがかかる。その中の1人が呼び出しに応じた際には、他のメンバーの呼び出しが止まる。チャットではグループ名しか表示しないため個人IDを開示せずに済む。応対した担当者が対応できない時は、別の担当者に会話セッションと今までのチャット内容を「転送」する機能も付加。顧客ニーズに応えカスタマイズもできる。

 カスタマイズ案件から生まれたのが、グループウェア「サイボウズ ガルーン」のアシスタント製品「AIVY GA(アイビィ ジーエー)」だ。「ガルーン」では、ログインしないと予定の変更内容を閲覧できない。だが「ログインせず変更内容を確認したい」ニーズから開発に至った。「GA」は、PCを起動するとデスクトップ上に更新内容を表示できる。ログインの必要はない。「アラートは確認してクリックしないと消えない仕組み」で、チャット機能や在籍管理機能も搭載。販売代理店を通して販売し、売れ筋製品となった。

 一方で、企業向け事業だけでなく一般消費者向けブログ情報ポータル「BlogPeople(ブログピープル)」も運営。ブログ流行以前の03年にサービス開始した。使いやすいサービスが評価され「第4回Webクリエーション・アウォード Web人発見!」で「Web人賞」を受賞。現在では50万登録サイトと400万ページビューまで成長した。運営やサポート、新サービス投入に余念がない。売り上げ構成は受託開発が40%で、「AIVY GA」が25%、「ブログピープル」が25%、「AIVYTalk」が10%。今後は「ブログピープル」で「生活できるまで売り上げを伸ばしたい」。法人向けサービス立ち上げも視野に入れている。(鍋島蓉子)
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