IT経営コーディネート 企業活性化にITCの妙手

<「IT経営」コーディネート 企業活性化にITCの妙手>21.スタジオアイ編(上)

2007/10/15 20:45

週刊BCN 2007年10月15日vol.1207掲載

写真館のIT化を段階的に実施

 広島県呉市を拠点に、大型商業施設、結婚式場などに店舗を展開しているスタジオアイ(相川敏郎社長)。近年、写真館の大手の全国展開や、異業種が写真館業界に参入するなど、市場環境はますます厳しくなっている。

 こうした背景で、同社は2001年から写真のデジタル化などを含め、経営の効率化を図るため、ITを活用した業務改革に取り組み始めた。

 01年といえば、写真のデジタル化が始まって間もない頃で、写真館業界ではまだアナログが優勢の時代だった。「もちろんデジタル化に対して反発もあったが、現状のままでは将来がないことは誰の目にも見えていた。アナログには、アナログのよさ、デジタルにはデジタルのよさがある。とにかく前を向くことだけを考えた」と相川社長。

 ITCの児玉学氏とは現在のIT経営応援隊の前身である、ITSSP(ITソリューションスクエアプロジェクト)のIT投資研究会が縁となり、出会った。写真のデジタル化だけでなく、同時にERP整備の意向があったことから、児玉氏は優先順位をつけて段階的に取り組むことにした。

 第一段階で取り組んだのは、写真のデジタル化。「まずは、全国のデジタル写真館の視察や、富士フイルムやコダックなどのメーカーで情報を集めた」(児玉氏)という。

 これまではアナログカメラで撮影し、フィルムを安芸郡(現・呉市)音戸町にあるラボラトリーに送って現像・プリントなどの作業を行っていた。デジタルシステムを導入することで撮影データをネットワークを介してラボに伝送する仕組みに変わった。アナログでは、フィルムの管理や作業の手間、写真の品質にもムラがでるなど課題があった。デジタル化することで、諸問題を解決し、作業効率の向上を図った。児玉氏は各店舗で撮影した撮影データをラボに送るための伝送用途のほか、ERPなど業務システムのインフラとしてもネットワークを活用する。このため、当時価格が下がり安価になった、NTTの「フレッツ」のIP-VPN(仮想私設通信網)を回線に選んだ。

 写真館のデジタル化と、ほぼ同時期にERP導入は進められた。販売管理システムを導入していたのはごく一部の店舗のみで、残りの店舗は手書きで売り上げを計上していた。

 ERP導入で既存の顧客管理システムと連携し、全社的な一元管理システムを実現しようと考えた。ところが、既存顧客管理システムはスタンドアロンでしか対応できないことがネックになった。(鍋島蓉子●取材/文)
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