広がりみせるか、リキャップCB

 底なし沼のような下落が続く株式市場。米国の景気後退が鮮明となり、株式などリスク資産から資金が流出する動きが強まっている。日本株の下落も需給面からみれば外国人売りが直撃しているためだ。外国人が1月から3月までのすべての月で売り越したのは1990年以来、実に18年ぶりとなる。売買シェアで70%を占める外国人が売り姿勢となれば、株価波乱は避けられない。そうしたなかで、買い手として期待が高まっているのが企業の自社株買い(株式市場で自社の株式を買い付けること)だ。取得した株式を消却して1株当たりの価値を高めたり、「金庫株」として保有して企業買収の際に現金代わりに使う方法もある。

 ここへきて自社株買いが増加しているのは、株価が解散価値ともいえるPBR(株価純資産倍率)1倍を割り込む企業が増え、株価下支えを狙う動きが広まっているため。

 新たな動きとして注目されるのがヤマダ電機が行うCB(転換社債)発行と自社株買いの同時実施だ。ヤマダ電機はユーロ市場でのCB発行で1500億円の資金調達を行う。うち700億円で自社株買い、残りは借入金返済に充て、資本効率を改善する。このCB発行と自社株買いの組み合わせは「リキャップCB」と呼ばれ、米国ではインテルなどが実施しているが、日本ではヤマダ電機が初めて。CBの転換価格を1万4000円台と発行時の株価より50%高い水準に設定しており、先行きの成長力・株価上昇に自信ものぞかせている。

 ヤマダ電機の株価は株式市場全体の急落に抗し切れず、7000円台と昨年12月の高値1万3710円からは40%超も下落した。この「リキャップCB」、ヤマダ電機に次いで鉄鋼のJFEホールディングスも実施。株価下落を憂慮する企業の間に広がる可能性がある。自社株買いの増加いかんでは、外国人投資家主導の株式市場の需給すら変わるかもしれない。(有賀勝久)