ラジオを使った付加価値サービス

 オンキヨー(大朏直人会長兼社長)の子会社であるオンキヨーエンターテイメントテクノロジー(大朏宗徳社長)は、新感覚ラジオ情報検索サービス「MuFi(ミューフィー)」の試験サービスを首都圏と京阪地区で開始した。ユーザーの音楽リスニングスタイルが変わるなか、新しく考案された付加価値サービスだ。

 「ミューフィー」はラジオ局と提携したサービスで、PCに接続したラジオチューナーを使い、指定の局から番組をHDDに1週間分丸録りし、好きな番組や音楽を聞くことができるもの。

 音楽の流通は、カセットなどのアナログからCDなどのデジタルパッケージ、さらにMP3などデジタルファイルへと変わってきている。それとともに以前はオーディオ機器で完結していたものが、メディアとオーディオの間にPCが介在するようになった。マーケティングにおいても、マスに宣伝を打ってユーザーの能動的な行動を誘発する「プル型」からメールマガジンなどを使うことで、特定の趣向を持つユーザーが受動的に反応する「プッシュ型」へと移り変わってきている。同社はPC用スピーカーやサウンドボードなど周辺機器も手がけているが、オーディオ機器そのものの売り上げは減少傾向にあるという。

 脱オーディオ文化が進むなか、いかに趣味性を前面に押し出し、ブランドを広めるにはどうすればいいか、音楽を楽しみながら聞いてもらうにはどうすればいいか--。考案されたのがミューフィーだった。

 「音楽というキーワードでサービスを練っていたところ、昔、ユーザーが能動的に聞きたい音楽を録音する『エア・チェック』が流行していたことを思い出した」(オンキヨーの村田稔・経営企画室 参事 エグゼクティブ プロデューサー)という。今でも音楽の宣伝ツールとしてラジオはよく使われている。あくまで私的録音の範囲でのサービス提供で著作権に抵触する心配もない。当初は歌のみを録音する「歌道楽」と名づけ、ラジオ局に持っていったが「音楽だけではCMが飛ばされてしまう」と難色を示された。そこから、番組自体を丸録りする仕組みに変更した。名前も「ラジオ道楽」に変えてみたが、ラジオ局からは「サービスはいいが、名前がよくない」といわれてしまったと苦笑する。「ミューフィー」には「ミュージックファイル」もしくは「ミュージックファインダー」の意味が込められているという。サービス実現までには3年の歳月を要した。ラジオ局の協力が不可欠で、長い期間をリレーションに費やしたのだ。(鍋島蓉子●取材/文)