著作権の一部開放なるか

 著作権の一部をユーザーに開放するクリエイティブ・コモンズ(CC)ライセンスの考え方は、動画投稿サイトなどユーザー参加型メディア(CGM)で急速に浸透しつつある。

 映像や写真、音楽を主体とするCGMでは、オリジナルの作品も多いが、なかには既存のコンテンツをトレース(模写)したり、アレンジしたり、リミックスを加えるなどして、楽しむユーザーも少なくない。だが、現状では、権利者の許諾がない限りは既存コンテンツの権利を侵害した作品と見なされてしまう。

 ユーザーが創作活動を楽しむことそのものについて、すべての権利者が否定的に受け止めているわけではない。しかし、著作権を放棄するわけにもゆかず、かといって自身の作品をベースとした二次的な作品が出回るのを完全に放置するわけにもいかない。CCが定めるライセンスでは、こうした権利者の悩みを解決する方策として、次のようなルールを定める。

 (1)権利者の名前を表示する「表示(BY)」、(2)CCライセンスを二次的創作物にも継承する「継承(SA)」、(3)作品を改変してはならない「改変禁止(ND)」、(4)商業目的で使ってはならない「非営利(NC)」──の組み合わせによって、一部の権利をユーザーに開放する方策である。

 たとえば、「表示+継承+非営利」ならば、権利者のクレジットを載せ、かつこのCCライセンスの諸条件を継承し、非営利でなければならない。「表示+改変禁止+非営利」ならば、クレジットを載せ、手を加えず、非営利なら自由に使ってもよいという具合だ。「表示」は選択必須で、「継承」と「改変禁止」は背反する部分があるので、同時には選択できない。

 国内では、動画投稿の「@niftyビデオ共有」(ニフティ)、「ClipLife」(NTTレゾナント)、「eyeVio」(ソニー)、写真投稿の「フォト蔵」、書籍風ブログの「BCCKS」などがCCライセンスを採用。動画投稿で国内最大手の「ニコニコ動画」と、電子の歌姫「初音ミク」の開発元として有名なクリプトン・フューチャー・メディアが運営する「ピアプロ」は、CCライセンスにほぼ準拠した形で、二次創作文化の円滑な発展を目指している。

 課題は、海外で制度設計がなされたCCライセンスを、いかに国内で根付かせるかにある。ユーザー基盤が厚いニコニコ動画やピアプロは、CCを高く評価する一方、そのままの形での採用はしていない。CC側は、複数の標準が乱立することには反対の立場。CCでは標準化に向けて日本での要望に耳を傾け、CCライセンスの制度づくりに反映させる姿勢を示す。(安藤章司●取材/文)