次世代Key Projectの曙光

<次世代Key Projectの曙光>77.NECビッグローブ(上)

2008/10/27 20:42

週刊BCN 2008年10月27日vol.1257掲載

コンテンツの上流で新たなCGC展開

 NECビッグローブ(飯塚久夫社長)は今年、若手クリエイター育成を目的としたポータルサイト「クリエイターズプラネット」を開設した。昨年春から、複数で進んでいた若手育成プロジェクトをまとめてポータル化したものだ。同社のコンテンツECグループは物販に加え、有料コンテンツを仕入れて売るといった事業を展開している。以前から、コンテンツの上流に行きたいという思いがあったことから、若手の育成を推進しているという。

 同社は昨年春から、若手クリエイターの育成プロジェクトを開始した。インターネットは高速化し、モバイル、ブログ、SNSといった新メディアが登場するなど、環境が大きく変化してきた。そんななか、インターネットの利用が拡大し、マルチメディアでの活用や個人の情報発信力が高まるなど、その利用スタイルも多様になってきている。


 誰もが自由に情報発信でき、さまざまな表現、他の人との共有、共感によりインターネットは新たな価値を持つメディアに変質したのだ。同社はこうしたインターネットの特徴と、既存マスメディアの特徴をあわせた新たなCGC(コンシューマ ジェネレイテッド コンテンツ)への取り組みとして東京造形大学と共同プロジェクトを開始した。まずは若手クリエイターの作品発表や育成の場として「クリエイターズアリーナ」を設置。そこからさらに事業を広げ、同社は宝島社などと「『このミステリーがすごい!』大賞」の主催や「TOHOシネマズ学生映画祭」への参画、昨秋には、オリジナル電子書籍を制作、出版、販売する「BIGLOBEパブリッシング」まで立ち上げた。


 こうしたコンテンツ上流への移行により、同社は書籍、動画、アニメ、絵本などさまざまなコンテンツライツビジネスの展開を狙っている。


 また、パソコン通信出身のプロバイダである同社は、年齢層が高めのユーザーが多い。「若年層の利用者を増やすうえでも、彼らが共感するコンテンツを増やしたかった」(杉本好司・ポータル事業部グループマネージャー)という。


 最近は高齢化社会が進行し、若手の才能を見つけ出すことが難しくなっている。携帯電話で無料でかつ自由に投稿できるサイトもあるが、「作者自身が初めから著作権を放棄しているようなもの」。著作権を認識した才能を育成したかったと語る。


 今年、事業戦略に基づいて若手育成事業をまとめ、「クリエイターズプラネット」を新しく設置した。(鍋島蓉子●取材/文)

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