変革を加速させる年

藤井吉文 社長

　外部環境の変化が、国内情報サービス産業の構造変化を後押ししている。大手SIerは、必要以上に膨らんだ外注構造の是正に取り組み始めており、また、内部統制強化の必然性から、従来の多重下請けを避ける傾向も顕在化。仕事量が減ったことで、積年の課題解決に着手したとも言える。多重下請け構造のさまざまな弊害はかねてから指摘されており、余剰を削ぎ落とす発注者の動きに適応できないSIerは振り落とされる。

　当社は、元請け比率を拡大させ大手SIerからも中核的なパートナーとして重視されるポジションを築いてきた。情報サービス産業の体質強化の動きと合わせて、当社も改革をより加速させる年である。ソフト開発においても、枝葉ではなく本当に重要な基幹システムにしっかり食い込む。それにより自身の技術力も高まり、ユーザー企業との信頼関係も深まる。

　携帯電話を使ったモバイルサービス事業も本格的に立ち上がってきた。SFA（営業支援システム）やCRM（顧客情報管理）サービスを携帯電話向けに提供するもので、大型案件の受注も相次ぐ。携帯電話のカメラやGPS機能を使った報告書作成システムでは今年8月、特許を取得。建設現場の施工状況や産業廃棄物のトレースなどコンプライアンス需要の一環として引き合いが増えている。2009年は強い逆風が予想されるものの、強みをより伸ばすことで不況を吹き飛ばしていきたい。