「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を迎えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。国内で地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか――。
福島県北部の地方自治体を中心にビジネスを手がけている。売り上げのほとんどが自治体案件で、しかも県内の売上比率が100%を占めている。
福島市に加え、県北5町村に基幹システムを提供している。オープン化が進んでいるなか、5町村にシステムのリプレースを提案しているが、財政難のために大きな案件はなかなか獲得できない状況だ。さらに、最近では首都圏のメーカー系販社が地方町村レベルにまで参入してきて、競争が一段と激しくなっている。そのため、当社も県北だけをビジネス地域として捉えていては生き残れない。県内の他地域や県外も事業地域として視野に入れていく。
県外でビジネスを手がけるために、とくに秋田県や青森県などの地場SIerとパートナーシップを組んでいる。県内では、郡山やいわきなどの地域で販売を強化するための協業を進めている。このような“連合軍”を形成しながら、メーカー系販社と対等に戦うことが重要と認識している。
長い目でみれば、ビジネスとして最も旨味があるのは「保守」や「システム運用」だ。そのため、当社のデータセンターを最大限に活用し、とくに販売面で協業したベンダーと保守・運用面で新しいサービスを模索する。また、SaaSやクラウドなどといったサービス型モデルについても、ニーズが高まればビジネスとして着手することを考えていきたい。
生き残るためには、パートナーシップなどで周りを固めるだけでなく、当社自身の力も鍛えなければならない。技術者のスキルを向上させるため、現在は取引先への派遣で力をつけさせているほか、資格取得を積極的に推し進めている。
自社製品の開発も計画している。民需で県内の工場の生産管理システムを導入したという実績をもっているので、このノウハウを生かし、独自のソフトを開発する可能性を見い出している。不景気やサービス型モデルの台頭など、大きな転換期を迎えているなかで、まずは自社の体力づくりがポイントだと捉えている。
◇福島県中央計算センター 代表者…齋藤幸夫 代表取締役社長 売上高…28億円 利益率…6000万円(経常利益) 主要顧客…地方自治体 ハードとソフトの比率…2:8 県内・県外比率…10:0 |