「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。  地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。

村上恒夫 代表取締役
 当社は、食品系の流通・小売業界を中心にビジネスを手がけている。2005年から経済産業省の流通システム標準化事業に運営・技術支援企業として参画し、次世代EDIの「流通BMS」を実現した。また、県内では地方自治体の案件も獲得している。

 流通BMSでは、最大手卸の菱食とイオンなど大手小売業との受発注データ運用を担当し、既存の受発注システムとの併用で標準化されたEDIでの受発注システムの稼働を進めている。最大の特徴は、共同利用の推進で食品業界全体の活性化に寄与している点だ。IT化はもはや情報武装のためのものではない。経営改善を進めるうえでのツールの一つに過ぎない。使う側は、他社のシステムとの差異化を図ったIT化を行えばいいというものではない。あくまでも会社を成長させるために導入するものだ。同じように、ITベンダー側も、他社と異なったシステムを構築すればいいわけではない。そういった点では、SIが終焉の時代に入ったと言わざるを得ない。だからこそ、SaaSやPaaSなどのサービス型モデルが台頭しつつあるといえるだろう。

 このような状況を踏まえて、当社では2年前からSI事業の縮小・撤退を方針として掲げている。業績面で大きく影響するとの声が社内で挙がったが、顧客のことを考えれば利用しやすい環境をつくることが優先されてしかるべきと考える。さらにいえば、この方向転換が当社にとっては利益面で大きく寄与することは間違いない。また、顧客のためだからといって要望だけを聞くのではなく、ITベンダーの当社から積極的に経営革新を実現するIT化を提案していくことが重要と考えている。流通BMSに加え、現段階では業務系ISVとの連携でクラウドサービス提供の本格化を計画している。サービス型モデルを構築した際は、直販だけでなく販売代理店網の構築も模索している。

代表者…村上恒夫 代表取締役社長
売上高…65億円
利益率…1億7000万円(経常利益)
主要顧客…食品系の流通・小売
ハードとソフトの比率…サービスが主体
県内・県外比率…6:4
 当面は、食品系の流通・小売業界でシェア40%の獲得を目指す。まずは一つの業界で確固たる地位を築き上げ、次のステップで他業界への横展開を検討する。