「地域活性化に地場ITベンダーの果たす役割」とは何か。創刊1300号を数えた「週刊BCN」では、このテーマを掲げて全国巡回取材を敢行し、47都道府県の有力ベンダーの代表者からナマの声を拾った。最終回となる第4弾をお届けする。
地域経済格差が広がるなかで、地場の中堅・中小企業を活性化させる“源流”となるのはITであることを確信している。地場ITベンダーが地域活性化で果たすべき役割はますます大きくなっている。はたして各社は、この重要な役割にどう応えているのか──。
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松山電子計算センターが 本拠を置くビル |
1970年の設立で、今年4月から第40期に入っている。現在は受託計算は行っておらず、流通関係のパッケージと医療関係のシステムを手がけている。粗利益ベースでは、流通が8、医療が2の割合だ。
医療関係は、富士通の代理店として、ハードとソフトをセットにしたシステムを、愛媛県内を中心に提供している。オーダリングシステムと電子カルテシステムがメインでターゲットは、中小病院だ。
医療は国の施策に影響される。今、自治体病院の7割超は赤字経営だ。それを見て一般の地元病院クリニックも慎重になり、商談が長引いているところがある。一方で、現在の医療業界ではレセプトのオンライン請求の需要が盛り上がっている。これにより、古い機器の入れ替えの需要や、オンライン請求システムの導入などの商談が生まれてくるのではないかと思っている。
流通関係では、自社のパッケージを大きく二つ持っている。一つが専門小売業向けの商品管理パッケージ「現場主義」。もう一つがFAXやコールセンターで受注する、いわゆる産直通販向けの「田舎主義」だ。これらは全国に向けて販売しており、「現場主義」は東京を中心に250社、「田舎主義」は地方を中心に480社が導入している実績がある。
流通については、物流の中抜き現象で小売業が徐々になくなりつつある。そのうち流通業自体がなくなって、「製造小売」という形態が進むだろう。あえて商機をいえば、卸売業が製造小売をするようになれば、当社のパッケージを拡販するターゲットの層も広がってくるだろうと見ている。
代表者…山内博司 代表取締役 売上高…6億7000万円 利益率…公表せず 主要顧客…流通、医療 ハードとソフトの比率…約3:7 県内・県外比率…2:8 |
長年、特定業種に特化し、ソリューションを提供し、業種知識の経験・ノウハウを積んできて、それで良しとしてきた。これからは、SaaS事業でパートナーと連携するビジネスモデルづくりが課題だと思っている。全国にアプリケーションを提供し、使用料をいただくような形で、従来とは違うビジネスモデルを作らなければならない。 (社長・山内博司)