IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!

<IT経営の真髄 ITCの支援で企業はこう変わる!>75.遠赤青汁(下) バックアップ強化に方針を転換

2012/04/26 16:04

週刊BCN 2012年04月23日vol.1429掲載

 健康食品メーカーの遠赤青汁で社内ITコーディネータ(ITC)を務める渡部一恵CIO・インターネット担当は、昨年の秋、顧客情報などを処理するデータ管理システムをサーバーからクラウドに移行した。同社の海外展開の拡大などに伴って顧客情報が増えてきており、データの増大に柔軟に対応するために、クラウド型サービスの利用が最適であると考えたからだ。

 ところが、クラウド型のデータ管理サービスを導入した直後に、通信環境の問題でデータの処理速度が従来よりも遅くなったことが判明し、クラウドを撤去せざるを得なくなったという。渡部ITCは、「クラウドサービスの利用を検討するにあたって、処理スピードもリスクのうちに入れていたのだが、通信環境が予想以上にぜい弱だった」と、クラウド利用の障壁となった事態のてん末を語る。

 遠赤青汁が本社を構える愛媛県東温市は、2011年9月に光通信が開通したが、「個人のインターネット利用に使うレベルの回線なので、企業が専用線として利用して、安定した通信ができるものではない」(渡部ITC)ことが、クラウドを利用するうえでのネックとなったのだ。渡部ITCは、「クラウドの撤去を決断する前、データ処理速度の問題を解決するためにいろいろとやってみたが、うまくいかなかった。田舎だから仕方がないというわけではないが、通信環境ばかりはインフラに頼らざるを得ないのが実際のところだ」と残念がる。

 遠赤青汁はデータ管理システムをオンプレミス型に戻し、今は従来通り、社内に置くサーバーでデータを管理している。渡部ITCは、クラウドを利用するためにはまだ通信環境が整備されていないことから、システム改革の方針を「クラウド化」から「バックアップの強化」に転換した。震災の発生などに備え、データのバックアップシステムを強化しているところだ。

 渡部ITCは、クラウドの導入をめぐる問題について、「光通信に変わったことで、メールでのデータ送信が容易になったことだけでもストレスが減ったと思いたい」と苦笑する。「今後も、できる範囲で取り組める課題を見つけて改善していきたい」と、前向きにシステムの改革を推し進める姿勢を示している。(ゼンフ ミシャ)

遠赤青汁が本社を置く愛媛県東温市は、昨年9月に光通信が開通した
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