M2M技術の代表的領域ともいえる自動車、交通サービスの分野では、ITソリューションによる大都市圏の慢性的な交通渋滞の解消や、年間で約63万件にも上る交通事故の大幅な削減が期待されている。道路交通の高度化は、2020年の東京五輪に向けたインフラ整備という観点でも、最重要テーマの一つといえる。
ITで交通事故死者を半数に
「世界最先端IT国家創造宣言」では、非常に意欲的な目標を掲げている。2018年を目安に、2013年に4373人だった交通事故死者数を2500人以下にし、2020年までには交通事故死者数が人口比で世界一少ない社会を実現する構想だ。ただ、交通渋滞についても2020年までに「大幅に削減する」としているが、定量的なKPIは設定されていない。また、長期的なマイルストーンとしては、2020年代中に自動走行システムの試用を開始することになっている。
2014年度にスタートする注目施策をみると、まずは警察庁が、警察の交通情報収集装置の情報と、民間のプローブ交通情報を融合するシステム整備に乗り出す。プローブ交通情報とは、実際に自動車が走行した位置、スピードなどの情報から生成される道路交通情報をいう。ベースとなる各種データは、カーナビシステムなどを通じて収集される。警察の交通情報収集装置のセンサは道路に設置されているので、センサが設置されている主要道路の情報しか取得できない。この弱点を補うために、カーナビメーカーなどがもつプローブ情報と融合することで、災害時の道路交通機能確保に役立つ、高度な交通情報サービス環境を整備しようとしているのだ。
経済産業省は、交通事故の削減に向けた施策として、画像データから危険を予測し、運転ミスをカバーする技術や、自動車に実装する障害物認識技術、さらにはこれらと連動した車体制御、M2M特化のセキュリティ対策など、安全運転を支援するためのセンシング技術や車体制御技術の開発・実証プロジェクトを立ち上げる。
一方、道路行政を所管する国土交通省は、高速道路での自動運転システムの実現を見据え、道路側からのアプローチとして、自動車への道路構造データの提供技術や、距離標を活用した車両の位置特定技術に着手する。(本多和幸)