日立製作所系SIerのニッセイコムは、自社で開発した給与計算パッケージソフト「GrowOne Cube給与」と、旧バージョン「NC給くん」シリーズのユーザーを念頭に、マイナンバー(社会保障・税番号)制度対応のモジュールを新規に開発している。
同社の給与パッケージソフトのユーザー規模のボリュームゾーンは、従業員数で500人~1000人と比較的大きく、いわゆる市販のパッケージソフトよりもユーザーの規模感が大きい。このため、マイナンバー対応に欠かせないガイドラインに沿ったサポートサービスからシステムの導入、マイナンバーの収集・管理の支援といった「フルラインアップでサービスを提供する」(松井英一・パッケージソリューション事業本部長)という体制を整えた。
GrowOne Cube給与などの既存のユーザーを中心にマイナンバー対応セミナーの案内をしたところ、「総務や管理部門の担当者を中心に予想を大きく上回る反響」(楠英登志・パッケージソリューション事業本部システム第一部長)があった。本来は6月でいったん終了するマイナンバー対応のセミナーは、番号の配布が始まる直前の9月まで延長することがほぼ決まっているという盛況ぶりだ。
なかでもユーザーに高く評価されたのは、マイナンバーを格納するデータベース(DB)を、「GrowOne Cube給与(旧NC給くん)」のアプリケーションソフトとは別にした点(図参照)。マイナンバーを保管するデータベースは特定個人情報に該当するため、国の定めたガイドラインに沿って安全に管理しなければならず、罰則規定もあるやっかいなシロモノだ。

ニッセイコムの松井英一本部長(左)、楠英登志部長 ニッセイコムでは、(1)既存の汎用的な業務アプリケーションのDBの中に混在させない、(2)マイナンバー専用DBによる集中的かつ暗号化による安全な管理、(3)既存システムの改修を最小限にとどめて既存システムのパフォーマンス(暗号化や復号化などの負荷による処理速度)低下を回避できるなどの利点を重視。マイナンバー管理専用のDBを切り出して管理することで安全性や管理のしやすさの向上につなげた。(安藤章司)