ドロップボックス・ジャパンでは、法人での採用数を伸ばすため、リセラー網の拡充に加え、Dropboxと連携するサードパーティソリューションの拡大にも力を入れている。今後は従業員間の協業機能なども強化し、仕事の標準的な道具としてDropboxのプラットフォームが活用されることを目指している。(日高 彰)

現在試験サービスとして提供されている「Dropbox Paper」。
グーグルドキュメントにも近いサービスだが、共同編集機能により重点をおいており、
さまざまな形式の情報を貼り付けられるのが特徴
法人での採用を増やすため、Dropboxが取り組んでいることの一つが、連携するソリューションの拡大だ。例えば、エムオーテックスとの協業により、同社が今年2月にリリースしたIT資産・ログ管理ツール「LanScope Cat Ver.8.3」で、Dropboxへのアップロードログ機能の提供を開始した。誰が、いつ、どのファイルをDropboxとの間で送受信したかを記録することで、「業務データのクラウド保存を許すと不正行為につながるのではないか」という企業の不安を解消する。Dropbox自体の機能を充実させるだけでなく、すでに多くの企業で利用されている製品との協業を拡大することによって、導入のハードルを下げていく戦略だ。協業相手側にとっても、オンラインストレージ最大手でユーザー数が伸び続けているDropboxへの対応を進めることで、自社製品の提案機会を増やせるというメリットがある。
Dropboxでは今後、コラボレーションを促進し企業の生産性を高めるプラットフォームとなる方向でサービスの拡充を図っていく。昨年10月からベータ版の試験サービスを提供している「Paper」もその一つだ。Paperはウェブブラウザを通じて、クラウド上の文書を複数のユーザーで同時に編集可能なサービスで、文書には画像や動画、他の文書ファイルなどを貼り付けることができる。コメントや履歴管理、変更をメールで通知する機能もある。ドロップボックス・ジャパンの河村浩明社長は、「メールの添付ファイルで文書をやりとりするワークスタイルを、クラウドベースに変えようという提案だ。Dropboxは単にファイルの置き場所となるだけでなく、保存したデータを活用する機能を加えていく」と説明。最近は、社内ITインフラの運用に人的コストをかけたくないという企業が、ファイルサーバーをDropboxに置き換えることを検討する動きもあるといい、Dropboxは“便利なツール”から“業務のインフラ”へと姿を変えようとしている。
今後も、引き続き中堅・中小企業をメインターゲットとして拡販を図る。河村社長は、「販売パートナーもクラウドへのシフトを強く意識しているのは間違いない」と話し、Dropboxと合わせて提案できる連携ソリューションを増やすことで、パートナーの収益拡大も後押ししていく意向を示している。