昨年からDropbox Businessの取り扱いを開始し、10ユーザー未満から数万ユーザー規模まで、大小さまざまな販売実績を積み重ねてきた大塚商会。今月、Dropboxパートナーとして世界初の「Eliteリセラー」に認定された同社に、これまでの取り組みと具体的な市場ニーズをたずねた。(日高 彰)
大塚商会では、自社運営のオンラインストレージサービスを2012年から提供しており、当時Dropboxは機能的に競合する商材だった。しかし、マーケティング本部クラウドプロモーション課の下條洋永・次長によれば「Dropboxはコンシューマ市場で成功を収めていた。われわれが説明するまでもなく、多くの人に知られているという点は、これまで扱ってきた他のクラウドサービスと大きく違う特徴だった」といい、自社サービスでカバーしきれないユーザー層にまで、すでにDropboxが普及していた点を重視。自社サービスの提供を通じオンラインストレージに確実な需要があることをつかんだうえで、さらにDropboxを併売することが、より多くの顧客へのリーチにつながると判断した。実際にOffice 365の導入時、Officeに標準でオンラインストレージ機能が含まれるにもかかわらず別途Dropboxを契約する企業も多いといい、その使い勝手は高く評価されているようだ。

(左から)マーケティング本部の土肥 更氏、下條洋永・次長、武沢 徹氏
同課の武沢徹氏によると、典型的な導入シナリオは二つで、一つは「容量無制限」というDropbox Businessのメリットを生かした、NASやファイルサーバーの置き換え。機器のサポート切れや容量不足を解決するため、プライマリのファイル保存先をDropboxに切り替えるというパターンだ。もう一つはシャドーITへの対応。従業員がデータ送受信に個人向けのオンラインサービスを使用しているが、会社の管理下にあるツールに統一したいというニーズは強く、「『お客様が使い慣れているDropboxに、セキュリティやログの機能が充実したビジネス版がある』と紹介すると即決いただけるケースもある」(武沢氏)という。また、同社ではドロップボックス・ジャパンとの共同セミナーを随時開催しているが、「参加される方の数も開催後の反応も非常に良好」(MS Webソリューション課の土肥更氏)といい、知名度の高いサービスながら、さらに使いこなすための情報を求める企業が多い様子がうかがえる。あらゆる業種から需要があるが、特徴的な事例としては図面を現場で確認する建設業や、大容量データを複数人でやりとりするメディア企業などがある。
大塚商会では今回のEliteリセラー認定を機に、Dropbox Businessの年間契約で4か月の無償利用期間が付属するキャンペーンを実施。また同社ではデータの移行支援サービスやアクセス制御・認証ソリューションなども提供しており、これまでのノウハウを活用しながら、顧客のワークスタイルやIT環境の最適化にさらに取り組んでいく方針だ。