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「連合学習」でデータ活用はどう変わる? メリットとデメリット

2022/08/30 09:00

週刊BCN 2022年08月29日vol.1936掲載

 データを集約せず、分散したまま機械学習モデルを作成する仕組み。共通のモデルをインストールした複数のクライアントが、それぞれ参照できるデータを用いて機械学習を行い、学習した結果(モデルのパラメータ)や改善点のみを中央サーバーに共有する。中央サーバーでは共有された内容をもとにモデルを更新し、送り返す。各クライアントは外部にデータそのものを共有しないため、これまでプライバシーなどの観点で利用が難しかったデータを活用できる点などが特徴となる。
 


 連合学習のメリットとして、データの収集にかかるコストや時間の効率化が挙げられる。加えて学習した結果だけをやり取りするため、モデルの更新にかかる時間を短縮できる。デメリットとして、クライアントはモデルを、中央サーバーと繰り返しのやり取りが必要で、通信コストの高騰につながる可能性もある。近年利用が増加する深層学習を用いたモデルはサイズが大きくなる傾向があるため、より通信量が膨大となることも懸念される。

 グローバルインフォメーションが2022年5月に発表した調査レポートによれば、連合学習の市場規模は28年には2億1000万米ドルになると予測している。特に医療分野や金融分野といった、外部に共有できない個人情報などを扱う分野で、導入が進んでいくとみられる。
(大畑直悠)
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