――2022年を振り返って、どのような年だったか。
これまで変革してきたことの成果が出始めた年だと思っている。クラウドビジネスの比率は増加しており、利益に関しても急速に回復している。また、人の採用についてはストップしていた時期もあったが、22年だけでも40人近くが入社している。ここ2、3年はいろいろと厳しい時期があったものの、足元でいえば非常に順調だったと感じている。
さくらインターネット
代表取締役社長
田中邦裕
――業績を見ても好調のようだ。
22年3月期は減収減益に終わったが、クラウドサービス事業に対して積極的に投資し、物理基盤サービス事業の縮小を断行したことに加え、新収益認識基準へと移行したことが要因だった。23年3月期は中間段階で増収増益となっており、クラウドサービスへの転換が順調に進んでいる。これも、社の方針を社員に丁寧に説明し、その方針に向かって社員が一体となり推進してくれた結果だ。
人と技術に投資し、さらなる成長へ
――23年はどのような年にしたいか。
クラウドのビハインドを強力にキャッチアップする年にしていこうと考えている。日本のクラウド事業者は海外の事業者に勝てないと言われることもあるが、部分部分だけでも日本のクラウド事業者がきちんと存在感を示すことが非常に重要だ。目標の実現のために、23年は主に人と技術に投資し、さらなる成長を目指す。
――具体的な取り組みは。
人への投資として、社内においてはエンジニアの確保をはじめとした採用をさらに充実させ、教育分野も強化したいと考えている。会社には多数のエンジニアが在籍しているが、最前線のプログラマーとしてキャリアを蓄積していくだけでなく、これまでに蓄積したキャリアを次世代に教える、講師やコンサルタントといった職種もキャリアパスとして選択できるように動き出している。
社外にも目を向けると、弊社のサービスを使えるエンジニアが減少していることが課題となっているため、社外向けの教育プログラムの構築や強化も考えている。これは、日本のクラウド化を強く推進していくという意味でもある。
技術投資の面では、テックカンパニーとして発展してきたということもあり、オープンソースへのコミットや、研究分野への貢献など、中長期で業界に寄与する研究開発での投資を続けていきたい。
よいものを作っても、知ってもらい買ってもらえなければ意味がないため、今まで弱かったマーケティング部分の強化にも取り組みたい。