1983年4月、われわれは成田発、アンカレッジ、パリを経由して翌日の昼過ぎにアテネに着いた。ギリシャは西洋文明発祥の地の1つだが当時は都市国家の集団であり、それら各都市間の争いが絶えなかったので、遂に強大な統一国家を建設することができなかった。しかし、古代ギリシャ人が創り上げた洗練された高度な文明は人類史上画期的なもので、その後のローマ時代を経て、今日の人類発展の基礎になっている。

 アテネ市内を観光して、まず目につくのがアクロポリスの丘である。市街の中心地の海抜150メートルの岩山にアクロポリスの丘があり、そこにイオニア式の石の列柱に囲まれたパルテノン神殿をはじめ多くの白亜の神殿が、雄大で荘厳な姿を見せている。2500年の歳月を越えてその偉容が美しく輝いており、観光客を魅了し深い感動を呼んでいる。

 翌日、待望のエーゲ海クルーズに向った。ピレウス港を出て、終日、エギナ、ポロス、イドラの島々を大型の遊覧船で回った。乗客は国際色豊かで、世界的に人気のコースであることを知った。さんさんと降り注ぐ陽の光を浴びながら、船は軽くエンジンの音を立てて波静かなエーゲ海を進んだ。青い空と紺碧の海、島々には真白な白壁の家々が海岸から雛壇のように並んでいて絵のように美しい。

 最初の島エギナ島に上陸し、オリーブの畑を登ると、小高い丘の上に大きなアフェア神殿の古代遺跡が建っていた。ポロス島では、眺望の良い高台のタベルナ(飲食店)で軽く一杯やり気分爽快。

 イドラ島は、坂道ばかりなので、自動車がなく、ロバが唯一の交通手段という。多くの商店が並んでいたが、そこでエーゲ海らしい絵を1枚買った。それぞれの島には違った風情があって、ゆったりとした船のクルージングは期待に違わない楽しい1日であった。もっとエーゲ海の島々を訪ねてみたいと心を残しながらアテネを発った。