Letters from the World

SARSでオンラインが盛況

2003/06/02 19:47

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

 新型肺炎SARSの蔓延は中国の市民生活にも変化を与えている。飛沫感染を恐れて人込みを避ける習慣が各地で根づき、公共交通機関には乗らず、銀行の用事はオンラインバンキングで済ませ、おしゃべりはインターネットや携帯電話で行う。今までITに無縁の人までも興味を持たざるを得なくなっている。例えば、家の中での退屈を紛らわせるためにインターネットや電話の使用率が激増している。

 実社会で交わされた握手は、メールでの挨拶に取って代わられ、おしゃべりは電話かチャットを通して、またグループ活動はオンラインゲームによって当面のところ間に合わされるようになった。

 お年寄りさえオンラインショッピングを行い、学生はeラーニング、求人や自動車販売のウェブサイトはアクセス急増といった状況だ。そんななか、ヤフー!中国、ヤフー!香港、ヤフー!台湾は共同で「チャットはコンパに勝る!『SARS』はコミュニケーションの壁とはならない」と題した「雅虎通」キャンペーンを展開し、インターネット上での写真コンテストなどを実施している。また多くのオンラインゲームサイトもこのチャンスを逃すまいと人と金集めに精を出す。

 中国でも毎年5月1日のメーデーを中心としてゴールデンウィークとなるが、今回はSARSによって大幅に日程が縮小された。しかも、旅行自粛勧告が出されたため、インターネットが必然的に人々のよりどころとなった。SARSによって普及が促される形となったインターネット、こうしたビジネスチャンスを逃すまいと、中国最大手ポータルサイト「新浪網」(SINA)は法人の顧客探しの手助けをインターネットを通じて行う「貴社の24時間インターネットセールスマン」サービスを打ち出している。日本にはSARSによる被害が深刻な面しか伝わってこないが、中国では少なくともオンライン上では、なかなかたくましく、賑わいを見せている。(上海発)
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