▼「テロ」に対する脅威ばかりではない。私たちの身の回りには、多くの脅威が存在する。「食の安全」に対する脅威もその1つ。2003年末には米国でBSE(牛海綿状脳症=狂牛病)が見つかった。国内では、京都で半年前に採卵した鶏卵を出荷した事件があったばかりで、今度は山口県の養鶏場で国内では79年ぶりの鳥インフルエンザが発生。韓国などで感染が広がっているウイルスと同型であることが確認された。

▼「食の安全」は人が健康的な生活を送る上で、極めて基本的な問題。日本では、病原性大腸菌O157による食中毒の発生後、HACCPやトレーサビリティ(追跡)システムの考えが普及し、BSEの影響もあって「e─Japan戦略Ⅱ」の中ではITを駆使したシステムの確立が実現目標になった。

▼日本では牛肉の全頭検査が義務付けられている。米国の場合、飼育頭数も日本とはケタ違いなこともあり、全頭検査は行われていない。食の安全を確保するためにも、全頭検査で「シロ」とならない限り輸入解禁は難しいだろう。ちなみに、米国は日本などBSEが発生した国からの牛肉輸入を認めていない。

▼米国産牛肉の輸入中止で外食産業に影響が出ている中で、今度は鶏肉にも不安が広がっている。世界各地で米国産牛肉や鶏肉の禁輸措置が取られている。「食の安全」のためには必要だとはいえ、経済的な影響は避けられず、風評被害も懸念されている。無責任な「安全宣言」に余計な疑念も浮かんでくる。