北斗七星

北斗七星 2004年2月23日付 Vol.1028

2004/02/23 15:38

週刊BCN 2004年02月23日vol.1028掲載

▼内閣府がこのほど発表した2003年10─12月期のGDP(国内総生産)伸び率は1・7%となった。03年の四半期ごとの成長率は0・5─0・6%程度で推移しており、第4四半期になって急速に景気回復が現実的となってきた。1・7%という伸び率は、前年同期比では3・6%の成長、前期比の年率換算では7・0%の成長となり、あのバブル時代に匹敵する伸び率という。

▼GDPを押し上げた要因には、企業の設備投資が回復基調にあることや、輸出が好調なことがあげられる。輸出は前年同期比の年率換算で17・9%の成長とGDP成長にIT関連機器の生産予想もプラスになっており、中でも景気の先行指標と言われる半導体や電子部品の生産も好調だ。日本が活力を取り戻しつつあるように見える。

▼統計数値ははっきりとプラスを示していながら、しかし景気の回復感に乏しいのも現実。GDPが成長する一方で、GDPデフレーターの指標は相変わらず前年を下回り続けている。企業は経営改革を目指してリストラを続け、生産の海外移転によるコスト削減を図ってきた。業績は好転しつつあるが、生活にはその恩恵がもたらされていない。

▼例年、年度末が近づくと慌てたかのように、あちこちで工事が始まる。しかし、今年は例年ほどではないように感じる。新聞に折り込まれるマンション販売のチラシは厚さを増している。しかしその価格は、バブル期に比べれば、相当に割安感がある。景気指標の良さの一方で、景気感に乏しいのも事実だ。
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