野菜や果物と同じように、ワインにも有機的に造られたものがあるのをご存知ですか?

 自然派ワイン、ヴァン・ナチュール(以下VN。ビオワインということも)と呼ばれるもので、フランスではワインショップには必ずVNのコーナーがあるほど一般に浸透している。

 「VNって何?」と聞かれると「普通のワインを化学調味料入りブイヨンとすると、VNは野菜だけコトコト煮込んだスープみたい」と答えている。口に含むと葡萄のエキスが凝縮したような果実味が弾け、液体は体にじんわりしみこんでいく。後味はすっきりしているのに余韻が長い。健康な葡萄の力が思いっきり伝わってくる。

 ご存知の通り葡萄は栽培と醸造の過程を経てワインになるが、VNは有機栽培した葡萄を、人為的、化学的操作を極力排除して造ったワイン。ワインはもともと葡萄に備わっている酵母が発酵を促して偶発的にできたといわれており、昔はどの醸造所も自然に逆らわずにワインを造っていた。が、第二次大戦以降、フランスを始めとする主要生産地では、生産量を上げるため、化学肥料、除草剤、培養酵母を盛大に使い始めた。本来の力を失った土地の葡萄に余計な手を加えて造られたワインは個性をなくしていった。しかし1970年代に入り、有機的にワインを造る人たちが出始めた。有機的といっても、最もストイックなビオディナミ(オーストリアの人智学者R.シュタイナーの理論に基づく)から、必要があれば農薬を使うリュット・レゾネ(減農薬農法)までさまざまなアプローチがある。

 「VNは保存料の入っていないワイン」という誤解もあるようだが、それは「無添加ワイン」で有機栽培、醸造は特に謳われていない。「早めにお飲みください」という表示があるところを見ると、たちまち劣化するのだろう。ワインは熟成を楽しむものだから保存料は必要とされている。昔から使われている亜硫酸塩は、規定量(日本では350mg/)以内なら安全とされているし、日本人の何十倍もワインを飲む欧米諸国の寿命が極端に短いという話も聞かないので、私はあまり神経質になっていない。しかし保存料を一切使っていないVNがあるのも事実。私も熟成したVNに感動した経験がある。力強い葡萄を使ったワインは保存料なしでも熟成するという事実にはただ驚くばかりだ。

 最近ではVNを豊富に扱うお店も増えてきたので、ぜひ一度お試しを。

VNが買える店(ウェブ販売も)
●カーヴ・ド・リラックス 虎ノ門店 03-3595-3697
●銀座屋酒店 03-3561-3226