アイアンにとって方向性は距離と同様に大切だということは前に書きました。方向性に影響するクラブの要素はいくつかあります。シャフトの硬さであり、ヘッドの重心距離であり、またはグリップの太さも関係します。それらのなかで、私がいちばん重要だと思うのは、ヘッドのライ角です。ライ角とは、クラブをボールの飛び出す方向から見た時のシャフトの傾きをいいます。

 さて、プレーヤーの体型、スイングの形は千差万別です。背の高さも違えば、手の長さも違う。そうすると、グリップの位置(高さ)というのは、当然変わってきます。例として、グリップの位置の高い人用に調整されたピッチングウエッジ(ロフト角45度、ライ角65度)を位置の低い人が使った場合…。ヘッドのトウ(先の部分)が浮いてしまいます。計ってみると、適正ライ角は63度です。つまり、2度アップライトのクラブを使ったことになります。2度アップライトだと、上から見ていてフェースがピンをまっすぐ向いているように見えて、実はフェース面は2度左を向いていて、2度左を向くと、約100m先では4m左にずれることになるのです。ライ角の差が顕著に球筋に現れるのはショートアイアンですが、ロングアイアンでも球がつかまりにくい(フラット過ぎ)、引っ掛けやすい(アップライト過ぎ)といった場合、ライ角の不適合が原因の1つとして考えられます。

 方向性はスイングできわめていくのが基本ですが、それはクラブがそのプレーヤーに適合している場合であって、合わないクラブを使っていると逆にスイングを壊してしまう恐れもあります。ゴルフショップで、適性なライ角を測って、調整してはどうでしょうか(注1・2)。


(注1)自分の適性なライ角が判かれば、次に購入する場合の参考にもなります。ちなみに、米国やオーストラリアのクラブはアップライト気味に、日本は少しフラット気味に作られています。キャロウェイのX-18(米国仕様)とS-YardのU.101を比較してみました。

(注2)アイアンヘッドの素材によっては、ライ角の調整ができないものもあります。

[ナカシマケンジ]
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1955年生まれ。79年、留学先の米ユタ州で本格的にゴルフを始める。95年、オーストラリアのシドニーに移住。99年、ゴルフのカスタムフィッティングの店「K's Golf」開店。