【高麗発】池袋から秩父に向かって電車に乗る。その途中にある駅が高麗(こま)だ。毎年、お彼岸になると、真っ赤な曼珠沙華を見る人でごった返す。駅前には屋台が並んでおり、ちょっとしたお祭り気分に浸れて楽しい。みたらしだんごとジャンボ稲荷すし、ふかし饅頭を食べた。500円ナリで胃袋も心も十分満足だ。駅舎を出るとまず目につくのが、駅前の広場に建っている「天下大将軍、地下女将軍」と書かれた真っ赤なトーテムポールに似た2本の太い丸太だ。初めて見た時は驚いた。もう15年前になる。この見慣れない真っ赤な丸太は異文化そのものだった。それもそのはず、駅名の「高麗」もよく考えると、高句麗に由来している。真っ赤な丸太は「チャンスン」と呼ぶのだとか。これは朝鮮半島の守護神だ。

▼高麗駅のある埼玉県日高市には、高麗神社がある。主祭神は渡来人高麗王若光(こまのこきしじゃっこう)だ。『続日本紀』によると、文武天皇大宝3年(703年)に高句麗から派遣された若光が王の姓を賜うと記されている。古い話だ。地球がまだ平板で、インターネットなど全く存在しない時代の話だ。それでも今の高麗神社宮司は60代目という。当時から今に続いているのだ。不思議な気がする。この地区を代表する花、曼珠沙華は決まってお彼岸に咲くので彼岸花ともいう。すくっと背を伸ばし、細い茎の先で手のひらを開いたような形で朱色に色づく。お彼岸、墓参り、彼岸花。秋分の日の9月23日は、この三つが連鎖している。

▼高麗にはクライマーにとって格好の岩場がある。日和田山の中腹あたりに男岩と女岩があって、岩登りの練習場所として有名だ。年間を通して、週末はヘルメットを持った中高年クライマーで賑わっている。そんな一人として高麗駅を利用して14年になる。年々、曼珠沙華の色づきが目立つように増えている。駅から群生する巾着田への道すがらの土手のあちこちに群生し始めた。これがなんとも美しく見えるようになってきたのだ。年のせいかな? ちなみにこの神社は出世明神と言われている。浜口雄幸、鳩山一郎らが参拝の後、総理大臣になったことからだ。まだまだ見頃が続きます。(BCN社長 奥田喜久男)