【本郷発】お化けコンテンツ企業が動いた。朝日新聞社とテレビ朝日とKDDIの3社は、「クロスメディア」の新サービスを来夏から開始するために合意した。携帯電話を活字、写真、動画、音声情報の発信端末としたわけだ。朝日新聞の読者をコアにすると、属性が明確になり、au携帯の広告媒体価値が、急速に高まる。さらに朝日新聞の読者が好む領域の雑誌、業界紙を選択してそのコンテンツを取り込むと、何でも屋のヤフーの向こうを張って、インテリのための携帯サイトができる。朝日新聞社は携帯電話を読者に1円で買ってもらい、夕刊の発行は中止して、速報の情報は携帯で発信すればよい。同社の収入源はサービス提供料だ。新聞社というコンテンツメーカーが作った朝日新聞専用の携帯端末という位置づけになる。さてさて、紙メディアでの新聞の発行は将来どうなるのだろうか? レガシーは重荷か資産か?

▼つい先ごろ、朝日新聞社の赤字決算見通しが記事になった。「ほう、朝日も赤字かぁ」といった景気縮小の影響を実感する読後感だった。広告の入稿はここにきて、激減している。外資系企業の経費凍結は、社長の解雇につながる。国内企業にも経費削減が連鎖して、事業活動の縮小が急速に進行している。赤字の要因は活字離れの読者が増えているという、ライフスタイルの変化が底辺にあるのは確かだ。しかしページビューを根拠にしたWeb広告の出稿の根拠が崩れ始めている。広告出稿企業は属性の明確なWeb閲覧者の根拠を求め始めている。Web時代は21世紀から始まったといってよい。たった10年の間の出来事だ。むしろ、もう10年というのか――。いろいろな考え方がある。

▼年が明けて、1月21日にはオバマ大統領の時代が始まる。かつてのキング牧師の「I have a dream」の熱い演説を思い出させる。オバマは携帯電話、スマートフォンでネットの向うにいる人たちに話しかけたという。コミュニケーション構造は変化した。インターネット、携帯という新しいメディアを、すでに私たちはライフスタイルに組み込んだ。『変』という文字が2008年を象徴している。この変化は世紀の時間軸での変化と捉えよう。(BCN社長・奥田喜久男)