旅の蜃気楼

“中島杯”で思い浮かんだ他愛ない会話

2010/04/28 15:38

週刊BCN 2010年04月26日vol.1331掲載

【成田発】きれいな景色だ。クラブハウスから見下ろすこのコースでナイスショットが出れば、またこのコースに来て打ってみたいと、ゴルフ好きの人はきっとそう思うに違いない。遠くまで見通せるフェアウエー。その両脇には、まだうっすらと花を残した桜の樹が立ち並んでいる。千葉・成田にあるグレンオークスカントリークラブは、この穏やかな美しさが素晴らしい。4月18日、このゴルフ場で『第28回BCN中島杯』を開いた。半年に一度の開催だから、14年前からとなる。中島杯の“冠”は、日本IBMの常務からJBCCの社長に就任し、退任した後にBCNの最高顧問に就いていただいた中島敏さんの名前からとっている。

▼その中島さんからは、ゴルフ以外で多くのことを学んだ。思い出すままに書き連ねてみよう。ある時、タクシーに乗っていた。運転手が細い道に入って走り始めると、「悪いね。運転手さん、表通りを走ってくれますか」と穏やかにいう。車を降りてから尋ねた。なぜ道の変更を指示したのか、と。「奥田はーん、僕は細い道は嫌いなんだ。ただそれだけ。そうでしょ、堂々と広い道を走ったほうが気持ちがいいもの」。なるほどと、感心した。またある時、雑談をしていたら、「人間、歳をとると丸くなるって言うよね。あれ、嘘。好き嫌いは歳とともにはっきりしてくるよ」。当時は半信半疑で頷いていたように思う。ところが、最近は年齢が当時の中島さんに近づいてきた。そこで思い当たることがある。判断が鋭角的になるところと、鈍感になるところが出てきたのだ。

▼美しいフェアウエーを見ていて、中島さんと交わした他愛のない会話を思い出した。なぜこんなことばかり思い出すのだろうか。経営のイロハについてもっと多くの大切なことを教わったはずなのに。不思議なことだ。今回の『BCN中島杯』には、BCNの新任取締役の辻本秀幸が初参加した。「前に社長を務めていたマクロミルの時代には、こうした集まりでは年長組でしたが、この会では若造になるんですね」と感慨深げだった。今後は新たな仲間を増やして、堂々とした『BCN中島杯』を運営します、と参加の皆さんに宣言した。この会の詳細は5月17日号に掲載予定です。(BCN社長・奥田喜久男)

前日とは打って変わって好天気に恵まれたコースで、成績を競いあった面々
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