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SFの世界が現実になる

 ○○年問題というのは、結構よく聞く言葉である。IT業界で比較的大きな話題になったのは「2000年問題」だった。グレゴリオ暦2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされたが、幸い、大きな問題は起きずに済んだ。いずれにせよ“問題”というからには、負の側面が浮き彫りになる。

 その点、今回取り上げる『2045年問題』は少し趣を異にする。確かに負の側面にも触れているが、コンピュータの限りない進化が人類の未来にどんな好影響を及ぼすかについて多くの紙幅を割いている。

 では、2045年問題とは何なのか。この年になれば、コンピュータが人類全体の能力をはるかに超え、それより先はコンピュータの行く末を人類が予測できなくなるという説がある。負の側面をみるならば、「コンピュータが人間の仕事を奪う」という古くて新しい問題が生まれる。イギリスの産業革命で誕生した自動織機がもたらした大量失業から始まり、近年は産業ロボット導入によるブルーワーカーの失業、そして人工知能の進化によるオフィスワーカーの失業へとつながり、新たな大失業時代がやってくるのではないかというのだ。

 その一方で、ネットの発達によって、会社に通勤しなくても仕事がこなせるし、会議などに顔を出さなくても打ち合わせを済ますことができたりする、つまり自宅にこもって「明るい寝たきり生活」が送れるのではないかともみる。今から30年後のコンピュータと人間の世界を予見してみるのも一興だ。(仁多)


『2045年問題』
コンピュータが人類を超える日
松田卓也 著
廣済堂出版 刊(800円+税)