日本(人)は稼ぎ下手か!?

 リーマン・ショックで不景気に突入し、GDPで世界第二位の座を中国に譲ったあたりから、日本は目にみえて元気をなくしてしまった。日本の一人あたりGDP(ドル換算)は、2014年時点で24位というていたらくだ。2000年頃には日本とスイスは肩を並べていたのに、日本だけが置き去りにされ、スイスは第4位に躍進している。この違いにこそ日本が学ぶべき点があると、野村総合研究所で理事長を務める著者は論を展開する。

 スイスの時計メーカーは「ブランド」をつくる。日本の時計メーカーは「時計」をつくっているからもうからない──といわれることがある。要するに、国、あるいはその国の人たちがつくる製品・サービスにブランド価値を見出し、その価値を高めることこそが稼ぐ力を生み出すということなのだ。

 著者は、日本(人)の稼ぐ力を否定的に捉えているわけではない。すばらしいところをたくさんもっているのに売り込み下手であることを、歯がゆく思っている。例えば、日本食ブームにおいてもそうだ。日本食のおいしさを表す言葉として「UMAMI(うまみ)」があるし、「BENTO(弁当)」も日本で生まれた食文化だ。にもかかわらず、ネットで検索してみても、「うまみ」や「弁当」で世界中に展開しようとしている企業は外資系しか見当たらないと、著者は嘆く。日本の伝統工芸など、世界を魅了する技術や製品が国内に埋もれたままなのはもったいなさすぎるというわけである。グローバルビジネスに目を向ける人の指南書ともいうべき本だ。(仁多)


『日本人の「稼ぐ力」を最大化せよ』
谷川史郎 著
東洋経済新報社 刊(1600円+税)