▼米国のイベントを取材すると、生バンドの演奏を聴く機会が日本よりも格段に多い。夜のパーティ、朝のプログラム開始前や昼休みの時間帯などにBGMを提供してくれる。何とも贅沢だが、一つの文化として根づいていることの証だろうか。例えば、テキサスではブルース、サンフランシスコではガレージ/オルタナティブ系のロックなど、“ご当地感”のあるジャンルの音楽が聴けるのも楽しい。

▼ある国産ベンダーの社長は、3か月に1回は愛用のブルースハープを携えてライブハウスでブルースセッションに参加する。モダンブルースの聖地、シカゴで開かれた国際会議に参加した際、夕食会でその腕前を披露し、会場中からスタンディングオベーションを受けた経験もあるという。これが参加者同士の心の距離を近づけ、その後の議論は「4文字言葉が飛び交うようになった」と笑う。会議では所期の目的を無事に達成。まさに芸は身を助ける。

▼ジャズやブルースのセッションはアドリブ演奏が基本だ。AIが往年の名プレイヤーのスタイルと音を完全に踏襲した演奏を披露する日も遠くないのかもしれないが、それではこんな素敵なエピソードは生まれない。(霞)