航空業界はどこへ向かうのか

 本来であれば、2020年は東京五輪・パラリンピックが開催され、海外から多くの人が飛行機に乗って日本に来ているはずだった。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大し、そうはならなかった。

 航空業界は、苦境に立たされている。好調だった訪日外国人の往来がなくなり、国際線の利用は激減。国内線も前年に比べて大きく落ち込んでいる。その結果、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の両航空会社は大幅な赤字を出した。海外に目を向けると、航空会社の経営破綻も起こっている。

 本書は、航空・旅行アナリストの著者がこの1年あまりを振り返り、ANAとJALを中心に、コロナ禍に翻弄された航空業界の動きを紹介する。議論を呼んだ「Go To トラベル」の影響や各社のウイルス対策、雇用マネジメントなどに言及し、苦しい状況の中、各社が打っている新たな戦略にも触れる。

 世間でニューノーマル(新常態)と言われているように、航空業界の在り方も大きく変わっていくことが予想される。航空業界を支えてきたビジネスや観光・レジャー需要はどうなるのか。そして航空業界はどこへ向かうのか。今後の変化を考える上で、本書は重要なヒントを与えてくるはずだ。

 コロナ前は毎年、出張や旅行で飛行機をよく利用していた。以前と比べると利用回数は大幅に減ったが、コロナ禍が収束した後は、再び飛行機に乗って出かけたいと思う。1人のファンとして、航空業界の復活を願う気持ちが一層強くなった。(鰹)
 


『コロナ後のエアライン』
鳥海高太朗 著
宝島社 刊(1650円)