東京23区から格差を考える

 東京、特に23区内は端から端までわずか30キロしかないにもかかわらず、エリアによって街の雰囲気が全く異なる。数駅移動しただけで、全く違う街が姿を現すことも少なくない。この雑多な雰囲気が東京の魅力の一つではあるが、この多様な地域性の陰には経済的な格差がひそんでいる。
 

 例えば、23区の東西、または都心部と周縁部で所得水準に開きがあることは、少なくとも東京に住んでいれば肌感覚で理解できるはずだ。

 本書は東京23区を「世界的にみて、もっとも豊かな人々と、もっとも貧しい人々が住む『階級都市』」であると指摘。格差に関するさまざまなデータを23区の地図上に落とし込んで表現する「社会地図」という手法で実態を綿密に分析している。

 経済的な格差が人々の間に「分断」を生むことは、現代アメリカの例を見ても明らかだ。筆者は、俗にいう「山の手」(富裕エリア)と「下町」(貧困エリア)での対立構造が深刻化すると予測しているが、その未来像は現実味を帯びている。著者が階級都市をいかに克服すべきと考えているかについては、ぜひ本書を参照してほしい。

 格差が固定され、機会の平等が保証されない社会は、ダイナミズムを失い、いつしか衰退していくだろう。つまり山の手の住民にとっても、地域格差は憂慮すべき問題であるはずだ。とはいえ、そんな声が彼らに届くか、よしんば届いたとして、深刻に受け止めるだろうか。索漠とした気持ちも覚える。(無)


『東京23区×格差と階級』
橋本健二 著
中央公論新社 刊(920円+税)