BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『知られざるコンピューターの思想史 アメリカン・アイデアリズムから分析哲学へ』

2022/09/23 09:00

週刊BCN 2022年09月19日vol.1939掲載

コンピューターの歴史に欧州の哲学あり

 世界最初の汎用コンピューターとされる「ENIAC」が米国で完成し、今年で76年になる。その登場はテクノロジー史上で最重要な出来事の一つだ。その後、大型のコンピューターが商用製品として登場した一方、1970年代に米西海岸でマイクロプロセッサーを用いたパーソナルコンピューターが登場し、巨大な市場を築いていったのは承知の通りである。

 コンピューターの歴史は、科学技術やビジネスの観点、あるいは西海岸のヒッピー文化と共に語られることが多いが、いずれもその舞台は米国が中心だ。しかし、数学者のフォン・ノイマンをはじめ、最初期のコンピューターの開発で重要な役割を果たしたのは、実は米国出身ではなく、中欧から渡ってきた論理学者たちだったという。

 本書は、哲学者である著者が、コンピューターの理論的な基礎を築いた偉人たちの系譜をたどりながら、計算機科学の「思想史的ルーツ」に迫る。コンピューター史と哲学という一見交わりそうにない二つの流れを、数理論理学などのキーワードによって結び付けていく。世界を変えたデジタル技術はどのような背景から生まれたのか、既存の歴史解説書に飽き足らない人にすすめたい。(螺)
 


『知られざるコンピューターの思想史 アメリカン・アイデアリズムから分析哲学へ』
小山 虎 著
PLANETS/第二次惑星開発委員会 刊 4400円(税込)
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