今日は何の日
<今日は何の日>7月23日(1983年)「ギムリー・グライダー(航空事故からの生還)」
2025/07/21 09:00
週刊BCN 2025年07月21日vol.2068掲載
単位の誤りが重大アクシデントに
1983年7月23日、カナダ東部のモントリオールから首都オタワを経由し、西部のエドモントンへ向かって飛行していたジェット旅客機は、乗客・乗員の69人が誰も経験したことのない静けさにつつまれていた。搭載していた燃料を使い切り、左右のエンジンが停止してしまったのだ。風力で発電する非常用動力装置により、機体の向きを変えることはできたが、エンジンが止まった飛行機は降下を続ける。空軍出身の副操縦士は、自身がかつて勤務していたギムリー空軍基地への緊急着陸を提案。機長はグライダーの操縦経験があり、滑空状態の機体をなんとか制御して見事基地へ着陸した。脱出時の滑り台で軽傷を負った乗客はいたが、ギムリー・グライダーは燃料切れという重大事故から奇跡の生還を果たした。
事故の原因は、給油量の計算ミスだった。リットルで計測された残燃料を質量に変換する過程で、キログラムで換算すべきところ誤ってポンドを使用したため、タンク内に実際に残った量よりも多くの燃料があると誤認してしまった。この航空会社はちょうどポンドからキログラムへ移行するタイミングで、担当者はそれまでの習慣でポンドの比重を使ってしまったのだ。システムのバグは時に人命を左右する。(螺)

由来
カナダ上空で民間旅客機の燃料切れ事故が発生。エンジンが停止し滑空(グライダー)状態となったが、懸命の操縦でギムリー空軍基地に無事着陸、乗客・乗員全員が生還した。
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