店頭流通

PCリサイクル、業界二分 料金は表示すべきか

2002/04/01 16:51

週刊BCN 2002年04月01日vol.935掲載

 パソコンリサイクル料金の表示方法を巡り、業界の意見が割れている。電子情報技術産業協会(JEITA)は「別途明示が望ましい」としているが、小売りの現場では「本体の価格に織り込むべき」との声が根強い。排出時に料金を徴収する家電リサイクルは、事実上「明示」方式になっている。このことが、結果的に「実質、販売店が料金の徴収代行をし、同時に格好の値引き材料になっている」と、家電取扱量が多いNEBA系販社は反発する。家庭用電子機器で初めて販売時徴収を採用するパソコンは「明示」にすべきか。

 ヨドバシカメラ新宿西口本店統括店長の日野文彦取締役は、「本体価格とは別に表示すると、顧客に割高感を与える。パソコンリサイクルは高いという印象を与えるのはまずい。内税方式で価格に織り込むべき」と訴える。ヨドバシカメラは、消費税の課税が始まった当初、当時の3%分を商品価格に織り込んで表示する内税方式を貫いた“筋金入り”の経歴をもつ。

 エイデンは、より具体的な問題を指摘する。「外税方式で別途明示すると、販売店の会計処理に手間がかかる。家電リサイクルの会計処理には苦労させられた。また、大義名分を振りかざして3000-5000円の費用を顧客に払わせるよりも、『知らないうちリサイクル料金を払っていた』という仕組みをつくった方が、顧客の心証がよい」と話す。

 NEBA(日本電気大型店協会)では、岡嶋昇一会長(エイデン社長)自らが、「家電にせよ、情報機器にせよ、リサイクル料金をメーカーが製造原価に織り込めば、すべて解決する」と、織り込み方式を、かねてから支持している。

 OAシステムプラザの大喜一夫社長は、「液晶パネルやメモリの価格がいくら上昇しても、価格に織り込んで表示している。リサイクル料金も、液晶などの部材と同じ扱いにすべき」と指摘。PCデポの野島隆久社長も、「割高に見える表示方法は避けたい」と織り込みを支持する。

 九十九電機第一営業本部販売促進部の後藤大和部長は、「小売りの立場で言えば、『製品そのものの価格として、もともと含まれている料金』とした方が売りやすい。外税方式で明示すると、販売店の都合でカネを集めているようで売りづらい」と、店員の立場に立った率直な感想を話す。

 別の業界関係者からは、「値下げ圧力がかかったとき、明示してあると販売店が損をし、織り込みだとメーカーが損をする確率が高い」との声も聞こえる。

 一方、懸念を示しつつも別途明示を支持する声もある。ビックピーカンの橋本修取締役は、「値引き要因になっては困る」と前置きしたうえで、「外に出したほうが明瞭だ。ただし、メーカーごとに料金が違ったり、明示したりしなかったりしては混乱を招く。ビシッと業界一枚岩で値段と表示方式を統一すべき」と、条件付きながらも「別途表示」を支持する。ソフマップも、「別途明示の方が明瞭会計」(商品本部U-COM事業部の図子貴士部長)と同調する。

 JEITAでは、「リサイクル料金を明示しなくて本当にいいのか。パソコンリサイクルは、家電と違い強制力がない。リサイクル料を払うという“商習慣”を業界一丸となって根づかせなければ、パソコンリサイクルは失敗する。加えて、製品原価に織り込んだ場合、流通過程でのマージンや消費税がかかる。集めたカネに法人税が4割近くかかる問題もある。問題山積で、議論が煮詰まっていない」と頭を抱える。

 リサイクル開始予定の2003年10月に間に合わせるには、今年度内(03年3月末まで)に料金や表示方式、排出パソコンを集める体制を早急にまとめ上げる必要がある。自主回収するのはメーカーだ。しかし、販売店も多かれ少なかれ、料金や排出パソコンの回収窓口になる。今の段階から業界を挙げて、仕組みづくりへの参画が求められている。
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