コンシューマ向け市場で、パソコンと自社製品群を生かした販売により、パソコンを拡販していく動きがある。(佐相彰彦●取材/文)

 ソニーは「バイオ」を核に、ソニーのAV(音響・映像)機器「ベガ」や「ハンディカム」、「サイバーショット」、「ウォークマン」との連携を強化している。たとえば、「ベガ」との連携では、オリジナルソフト「バイオメディア」と新開発のネットワークレシーバー「ルームリンク」を使うことで、「書斎にあるバイオのAVコンテンツをリビングのベガで楽しむ」というホームネットワークを実現する。操作は、テレビに映し出される操作画面に向かって「ルームリンク」付属のリモコンを使う。

 モーバイルネットワークカンパニー・木村敬治NCプレジデントは、「今後5年間は、ホームモバイルでのワイヤレスやホームネットワーク、ブロードバンドの提案などにチャレンジしていく。今回の販売は、その第1弾といえる戦略だ」と話す。9月14-15日の2日間にわたり横浜市西区の「パシフィコ横浜」で開催した「ソニードリームワールド2002」でも、バイオとAV機器をつなぐ楽しさを消費者に訴求した。東芝では、ホームサーバー「トランスキューブ」を核に、ノートパソコン「ダイナブック」と無線LANを接続し、「トランスキューブ」がもつワイヤレステレビ機能や長時間録画が可能なHDDビデオレコーダー機能など、パソコンの新しい使い方を提案。将来的には、ホームサーバーとネット家電を絡めた販売で、「パソコンと生活をつなぐ」ことをアピールしていく。

 PC事業部PC企画部・末澤光一部長は、「当社のパソコンは、ビジネスマンやパソコン上級者など、日常の生活や業務のなかで使い込む層が比較的多かった。だが、パソコンを拡販していくためには、既存の顧客層に加え、これまで取り込めなかった層を開拓していくことが重要だ」と強調する。パソコン市場が低迷するなか、誰もが簡単に使えるパソコンの用途提案は、新しい市場領域を形成するのではないだろうか。

 ある関係者は、「ウィンドウズXPやインテルのペンティアム4の発売でも、パソコン市場が成長しなかった。これは、スペック自体で消費者が購入するような時代はもはや終わったからではないか」と分析している。「特に、魅力あるソフトウェアの発売がない。そのため、わざわざ高スペックなパソコンを購入しなくても、今のパソコンで事足りるという消費者が多い」と指摘する。ショップでも、「パソコンが一般的となりつつあるなか、消費者に『買いたい』と思わせなければ、パソコン市場の拡大は見込めない」という見方が強い。

 メーカーとしては、わざわざ新しい市場を創造することよりも、既存の市場のなかで製品を開発していく方がリスクが少なくて済む。 だが、スペック自体で購入する消費者が少なく、多様化する消費者ニーズを考えた場合、新しい市場を創造することは、たとえ体力が要ろうとも避けて通れないテーマだ。加えて、前年割れする既存のパソコン市場でシェア拡大に図ったとしても、需要自体が拡大しなければ、パソコン販売で利益につなげることは難しい。パソコンで収益を上げていくためには、新しい市場を創造する取り組みが必要となっている。