店頭流通

デジタルカメラ業界 一眼レフ相次ぎ投入 価格低下で普及広がる

2003/12/15 16:51

週刊BCN 2003年12月15日vol.1019掲載

 キヤノンが「EOS KISS Digital(イオス キス デジタル)」、ペンタックスが「*ist D(イストディー)」と、相次ぎ普及価格帯のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラを投入している。これに対しニコンは、主力のレンズ交換式デジタルカメラ「D100」の下位機種として「D70」を来年春に発売すると発表した。普及価格帯のレンズ交換式一眼レフカメラを巡る戦いはここにきて熾烈化。先行するキヤノン、ペンタックスの両製品は、売れ行きも好調で年末年始商戦の「目玉」にもなった。出遅れたニコンも「D70」の投入で巻き返しを狙う。

 2003年のデジタルカメラ市場は、好調な伸びを示しており、カメラ映像機器工業会(CiPA)は、年初に出していた年間出荷台数769万台という予測を、夏に828万台に上方修正した。最終的には、「年間1000万台も見えてきた」(業界関係者)という見方も出てきている。

 銀塩カメラは最盛期でも600万台程度の市場規模だったが、今年のデジタルカメラはそれをあっさり追い越すことは確実だ。

 現在のデジタルカメラ市場の話題は、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラだ。当初、レンズ交換式一眼レフデジタルカメラは、報道用などのプロカメラマンを対象に、50万円から100万円以上の価格帯で、コダックやニコン、キヤノンなどが競争してきた。

 それに追随して、富士写真フイルムも市場参入したほか、レンズメーカーのシグマも比較的低価格なレベルを狙って製品開発した。キヤノンの「EOS KISS Digital」もペンタックスの「*ist D」も、一気に普及価格帯を狙って登場してきた。

 これまで10万円程度の価格帯は、レンズ一体型のハイエンドデジカメが高性能・高画質で市場を切り開いてきた。しかし、ユーザーにとっては35ミリ銀塩カメラと同価格帯にありながら、レンズ交換ができないという不満もあった。もちろん、レンズ一体型の高倍率ズームを搭載した、「ネオ一眼」などと総称される製品群も軽量・コンパクトに加えて価格が下がってきたことで普及は続いている。

 キヤノンが「普及型デジタルAF一眼レフ」とうたう「EOS KISS Digi tal」の場合、実売価格でレンズキットモデルで13万円前後、本体のみで12万円前後。

 「35ミリのEOSの中級機種と同価格帯になったことで、デジタル一眼レフを求めていたユーザーが飛びついた」(カメラ販売店員)と、10数万円前後の価格で、銀塩カメラを追い落とす勢い。

 一方、ニコンの「D100」(本体のみ)は量販店の店頭で20万円弱。同社の銀塩カメラ「F100」は14万円弱(同)と、同クラスのボディを持ちながら大きな価格差がある。レンズ交換式一眼レフデジカメに、この差を埋める機種はどうしても必要になるため、これを「D70」が担うと見られている。

 「レンズ交換式か否か、ということはユーザー次第」(業界関係者)。レンズ交換による効果を期待することや、手持ちのレンズを活用したいという層には、普及価格帯のレンズ交換式デジカメは待望の商品。つまり銀塩の一眼レフカメラユーザーであっても、フイルム現像やプリントの手間がないデジタルカメラへニーズは動き始めたわけだ。

 ニコンが「D70」の投入を早々と発表したのも、その辺りに原因があろう。
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