店頭流通

ホワイトボックスメーカー 量販店ビジネスが好調

2004/06/07 16:51

週刊BCN 2004年06月07日vol.1042掲載

 ホワイトボックスメーカーの量販店ビジネスが好調だ。多くのパソコン専門店および家電量販店がショップブランドによるオリジナルパソコンの拡販に力を入れているため、ここ数年、販売台数は各メーカーとも年20%増で推移している。ホワイトボックスメーカーにとっては、ショップの“黒子”になることで販売店の信頼を獲得し、自社ブランドパソコンの拡販にもつなげている。低価格パソコンの需要の裾野が広がるなか、今後もショップブランドパソコンは好調が予想され、メーカー各社のビジネスチャンスも増えそうだ。

販売台数、前年比20%増で推移

 ホワイトボックスメーカーで名高いのは、BTO(受注生産)パソコンショップ「パソコン工房」を運営するアロシステムの子会社、エムヴィケー(MVK、大野三規社長)。同社は約30社のショップに製品を提供しており、2003年度(04年3月期)の販売台数は初めて10万台を突破した。

 金光俊典・取締役営業部長は、「ショップブランドのパソコンを取り扱う量販店が増えている」ことが販売増の要因と語る。しかも、「最近では、ショップブランドのBTOパソコンを販売したいという要望も増えている。今年度(05年3月期)中には、こうしたニーズにも対応していく」方針で、今年度はさらに20%増の12万台を見込む。 CTO(注文仕様生産)パソコンメーカーのエフ・アイ・シー販売(蔡永桂社長)は、ショップへのOEM(相手先ブランドによる生産)提供に加え、自社ブランドのパソコンも徐々に販売を伸ばしている。「ホワイトボックスと自社ブランドを含めて、今年度(04年6月期)販売台数は前年度比20%増になる」(蔡社長)見通し。「ナショナルブランドといわれるメーカー製パソコンと比べ、コスト競争力の点で優位性がある」(同)と自信をみせる。

 BTOメーカーのMCJ(髙島勇二社長)では、コンシューマ向けビジネスが02年度(03年3月期)は売上高全体の30%にとどまっていたのに対し、昨年度(04年3月期)は60%まで増えた。自社ブランドの「マウスコンピュータ」およびホワイトボックスの提供で、取引企業数は10社以上、店舗数は180店舗以上と前年度の約3倍に達している。島社長は、「取扱店舗数は今後も増え続けるのは確か」と、近く200店舗まで引き上げたい方針だ。

 ホワイトボックスのビジネス展開では、スペックや出荷数量、価格などの面で、各ショップからの要望にきめ細かく対応していくことがポイントになる。

 エムヴィケーは、親会社のアロシステムが運営するBTOショップ「パソコン工房」のノウハウを活用している。また、エフ・アイ・シー販売やMCJでは、自社ブランドのパソコンをCTOやBTO方式で開発している強みを生かし、ホワイトボックスのビジネスを可能とした。

 ホワイトボックス市場は、メーカー製パソコン市場の約10%の規模といわれている。ショップにとっては、競合店舗との差別化が図れるという点から拡販につなげたい商材だ。しかも、オリジナルモデルを販売することにより、液晶モニタや外付け記録型DVDなど周辺機器の販売にもつながる。多くのショップからは、「オリジナルモデルの占める比率はパソコン販売全体の10%未満だが、これを早期に20%、30%へと広げていきたい」という声が聞かれる。

 最近では、価格や機能をメーカー製パソコンと比較した結果、ショップブランドモデルを購入するパソコン中・初級者層も増えている。ユーザー層の裾野は着実に広がっており、ホワイトボックスメーカーのビジネスは今後も拡大が予想される。
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