全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>69.横浜市港南区(下)

2005/03/21 18:45

週刊BCN 2005年03月21日vol.1081掲載

 カメラ量販店のヨドバシカメラや組立パソコン用パーツ専門店のサードウェーブなどは、横浜駅前と港南区の両地域に出店している。これは、横浜駅を含めたドミナント(高密度多店舗展開)戦略のためだ。

神奈川県南部の顧客増を狙う

 横浜駅周辺で知名度を高めた両社は、横浜駅まで遠くなく、横浜市の中では22万人以上が居住する港南区を、それ以南の横浜市金沢区や横須賀市など神奈川県南部のユーザーを増やす戦略的な地域と位置づけた。

 港南区の中心である京浜急行の上大岡駅にあるヨドバシカメラの「マルチメディア京急上大岡」では、いかに地元住民を顧客として囲い込むかに力を注いでいる。「ポイントカードの新規加入者は、1か月平均で200人前後。しかも、購入者の9割以上がポイントカードを提示するリピーターになっている」(山野比呂志店長)と自信をみせる。

 京急上大岡駅前にはヨドバシカメラ1店だが、横浜駅前にはヨドバシカメラの他にビックカメラなど大型店がある。競合のない京急上大岡駅周辺で、神奈川県南部の顧客を吸収し、横浜駅前で競合店に客が流れないようにする戦略だ。

 サードウェーブは、横浜日野店で自作パソコンを始めようというユーザーの来店を狙った店舗作りを進めている。そのために、まずはオリジナルパソコンで関心を引く作戦。東京・秋葉原電気街の同社ショップと比べパーツの商品数を少なくし、オリジナルパソコン「プライム」シリーズを多く揃えているのはそのためだ。

 「パソコン本体を多く展示することが新規ユーザーを増やすカギになる」(ドスパラ横浜日野店の堀江梓也責任者)と判断している。パーツを含め「昨年4月のオープン以来、月間売上が前月を上回る状況が続いている」(堀江責任者)と胸を張る。

 もともと横浜市港南区の住民は、横浜駅周辺に行ってパソコンや関連機器、家電機器を購入するケースが多かった。ところが、ヨドバシカメラやドスパラ、ヤマダ電機などが相次ぎ出店したことで、電車に乗って横浜駅まで出向かなくても近場で欲しい品物を購入できるようになった。

 JR線の港南台駅や京浜急行線の上大岡駅、横浜市営地下鉄の上永谷駅など港南区にある駅から横浜駅まで要する時間は30分以内と近い。このため、今でも休日になると横浜駅周辺や関内などに買い物に出かける傾向はある。しかし、車で繁華街に行こうとしても、駐車場が少ないことや道路の渋滞など不便な点がある。

 パソコンなどを買う場合、持ち帰るためには車が便利。そうした商品を購入する際には、自宅の近くにある郊外店や最寄りの駅に店を構えるショップに来店するようになるのは当たり前のこと。人口の多いベッドタウンを背景に、港南区のショップ同士が、神奈川県南部もテリトリーにした激戦を繰り広げているわけだ。(佐相彰彦)
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