全国ショップ激戦図

<全国ショップ激戦図>100.東京・秋葉原地区(上)

2005/11/07 18:45

週刊BCN 2005年11月07日vol.1112掲載

 家電量販店やパソコン専門店が軒を連ねる電気街・秋葉原。9月16日のヨドバシカメラ「マルチメディアAkiba」のオープンと前後して、主要ショップの業態変更や安値競争の動きが加速している。〝日本最大の激戦区〟秋葉原は、いま大きな変革の波に洗われている。

業態転換、安値競争も加速

 ヨドバシカメラのオープンに先駆けて動き出したのは、秋葉原を本拠地とする大手家電量販店。石丸電気は、JR秋葉原駅電気街口から徒歩2分のデジタルカメラ専門店「AKIHABARAデジカメ館」を5月21日にリニューアル、中古DVDソフト買い取り専門の「ISHiMARU SOFT 買取本舗」としてオープンした。中古DVDソフトは、買い取れるタイトルが多く、DVDソフトのコンテンツによっては、高額で販売できるという利点がある。一方、デジタルカメラはコンパクトモデルが成熟期に入りつつあり、新品の利益率が下がっている。こうした理由から駅前立地の好条件を生かし、買取専門店に仕立て上げた。

 ラオックスでは、電気街最大で同社の旗艦店でもある「ザ・コンピュータ館」を8月26日に全面改装。「デジタルライフ・スタイル提案と、初心者層にも優しいPC総合専門店」のコンセプトのもと、1階をデジタル機器の提案型フロア、4階で新しく組立ロボットの取り扱いを始めた。「ザ・コンの再起動で〝底力〟を見せる」(山下巌・広報IR室長)ことがリニューアルの最大の狙いだ。

 神田明神通りの裏通りに位置する、通称〝パーツ通り〟内に構える組立パソコン用パーツ専門店では、土曜日や日曜日といった週末の安売りセールを一段と加速。店頭価格の2-3割引きと思い切った価格を提示することで、通行人を呼び込もうとするショップが増えた。なかには、「ヨドバシカメラよりも安い」と、対抗心むき出しのPOPを掲げるショップもある。

 ヨドバシカメラのマルチメディアAkibaは、JR秋葉原駅の昭和通り口と首都圏新都市鉄道「つくばエクスプレス」の秋葉原駅に直結している。加えて、400台を収容できる駐車場を完備。電車でも車でも利用の便が良い。売場面積は、2万3800平方メートルと国内最大級。アイテム数は65万種類と電気街内のショップに比べて群を抜く。初年度の売上高は500億円規模を見込む。

 店のコンセプトについて、ヨドバシカメラの藤沢昭和社長は、「秋葉原での出店だからといって、とくに深い思い入れはない」としており、「ファミリーを中心に来店するショップに仕上げた」という。実際、週末になると多くの家族連れが来店している。(佐相彰彦)
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