ネットワールドは12月9日、東京・港区のザ ストリングス表参道で「ネットワールド IBM Day 2025」を開催した。企業の競争力強化をテーマに、日本IBMのプラットフォーム戦略をはじめ、ネットワールドのAIやデータ関連ソリューション、パートナーの取り組みなど「AI」「データ」「クラウド」「インテグレーション」の最新動向とユースケースを紹介した。当日はパートナーとエンドユーザーの約80人が参加した。
リブランドされたwatsonxシリーズ HashiCorpやConfluentもポートフォリオに
日本IBMはプラットフォーム戦略に「オープン・信頼・インテグレーション」を掲げる。理事でデータ・プラットフォーム事業部の佐藤隆子・部長は、データ領域について「リブランドされた『watsonx』シリーズを中核に、AIエージェント基盤の『watsonx Orchestrate』や開発支援の『IBM Bob』などのアプリケーションを展開している」とする。IBMのAI戦略は、AIを前提に業務を再構築し、人間は監督役へとシフトするAI+(ファースト)のコンセプトを掲げる。
日本IBM 理事
データ・プラットフォーム事業部 部長
佐藤隆子
続いて、日本IBM テクノロジー事業本部 ソフトウェアパートナー営業部の土屋亮治・部長は、オートメーション領域について「IT投資管理の最適化からハイブリッド統合基盤の実現、IT自動化・運用管理の高度化まで、システム運用をフルスタックでサポートする」とした。近年では「Terraform」や「Vault」を通じてインフラ構築・運用を自動化する米HashiCorp(ハシコープ)や12月初旬に買収合意を発表した米Confluent(コンフルエント)が展開する「Kafka」を拡張したイベント駆動の「Confluent」も取り込み、「来るAIファーストの時代に向けたフルスタックでの可観測性と運用自動化基盤整備を支援したい」との見解を示した。
日本IBM
テクノロジー事業本部 ソフトウェアパートナー営業部 部長
土屋亮治
IBMのAIエージェントにより 自社業務のデータ作成工数を短縮
続いて、ネットワールド マーケティング本部ビジネス推進課の海野航・テクニカルアドボケイトは、watsonxシリーズによる業務課題解決のユースケースとして「IBM watsonx Orchestrate」のAIエージェントを自社業務に適用した事例を披露した。
ネットワールド
マーケティング本部 ビジネス推進課 テクニカルアドボケイト
海野 航
同社のIBMチームでは、普段から問い合わせ対応や見積作成などの定型業務を抱えている。特に進行中の案件を管理するForecast(フォーキャスト)作成は「Excel」でデータを手動で加工し熟練者でも時間、手間を大幅に要するなど、効率化の余地が大きい。海野氏はこの業務にIBM watsonx Orchestrateを用いたAIエージェントを適用し、AI利用ならではの工数削減やエラー抑制、属人化防止といった効果を実証している。
実際のデモでは、同社 ソリューションマーケティング部システムソリューション課の内山千明氏が、データ作成に必要な見積ファイル(CSV)をIBM Cloudに配置し、AIエージェントを呼び出し、処理が進む様子を紹介し、従来の半分以下の時間でデータを作成することを示した。
ネットワールド
マーケティング本部 ソリューションマーケティング部
システムソリューション課
内山千明
さらに海野氏は、従来のRPAとの違いを説明した。RPAが「手順の自動化」にとどまる一方で、AIエージェントは「目的志向」であり、自然言語にて目的を伝えることで必要なツールとデータを呼び出し、手順を自動で組み立て業務を遂行する。API連携を基盤とするAIエージェントは柔軟性と拡張性に優れ、エンタープライズに適した仕組みを備えている。
なお今回のシステムは、AIエージェントの開発にwatsonx OrchestrateのADK(エージェント開発キット)、コードの開発とデプロイに「IBM Cloud Code Engine」、データ格納に「IBM Cloud Object Storage」を採用した。ネットワールドは、こうした実証を通じてIBMのAI戦略を日本の現場に届ける役割を果たしている。
ネットワールドと共にIBMビジネスを推進 パートナーのAITとサイオステクノロジー
イベント後半では、ネットワールドのパートナー企業の取り組みが紹介された。最初に登壇したAITは、日本IBMとSRAの合弁会社として1991年に創業し、IBM商材を主体に事業を拡大してきた。同社 ソリューション営業本部アナリティクス&サービス営業部の増田武史・部長は、「2014年以降、ソフトウェア重視に転換。データやAI領域は2011年の『SPSS Modeler』のライセンス販売やトレーニング支援を皮切りに、アドバイザリーサービスやPoC支援へと領域を広げてきた」と話す。近年は独自のDXブランド「AI365」を立ち上げたほか、AIエージェント、ローカル生成AI、AI-Readyデータ対応を重視している。各種イベントを通じて「顧客に寄り添い、関係性を深める取り組みを継続している」(増田部長)。
AIT
ソリューション営業本部 アナリティクス&サービス営業部 部長
増田武史
最後に登壇したサイオステクノロジーは、API・AIエコシステムデザインソリューション事業を注力領域の一つと位置づけている。同社 APIソリューションサービスライン技術統括の槌野雅敏・執行役員は、16年に立ち上げた同事業について「APIをハブに、人・アイデア・技術を融合させるビジョンを掲げ、マルチベンダー方式で最新の海外事例や先進的なユースケースを国内に届けている」と話す。API基盤の設計・構築からデータマネジメント、DevSecOpsまでをワンストップで支援している。特に、 IBMが買収したHashiCorp、DataStax、webMethodsに加えて、先日買収の発表があったConfluentといったDX推進を下支えする先進的な製品群は早期から取り扱ってきた。
サイオステクノロジー
執行役員 APIソリューション サービスライン技術統括
槌野雅敏
こうしたパートナーの取り組みは、ネットワールドとともにIBMの戦略を現場に根付かせる重要な要素となっており、参加者にとって今後のビジネスのヒントをつかんでもらう機会となった。