秋葉原は今

<秋葉原は今>2.新規ビジネスに着手

2005/11/28 16:51

週刊BCN 2005年11月28日vol.1115掲載

 年間を通して販売がピークとなる12月を前に、多くの組立パソコン用パーツ専門店が頭を悩ませている。主力商品のパーツが儲からない商材になりつつあるためだ。

 あるパーツショップ関係者は、「パーツユーザーが買い替えてくれないのは、新しいCPUが登場するなど話題がないからだ」と指摘する。「年末商戦だからといって、売り上げが増えるのは期待できない。お客さんに買ってもらうには、大幅に値下げするしかない」と、ますます粗利率が悪化することに肩を落とす。

 この傾向は、パーツショップが軒を連ねる東京・秋葉原電気街も同様。しかも、「以前、パソコンの自作ブームで新規顧客を大量に獲得できた時期があった。ところが、最近ではヨドバシカメラが秋葉原駅前に出店したことで、パーツユーザーになる可能性が高いパソコン初級者や中級者は、まずヨドバシカメラに行ってしまう」と嘆くショップもある。

 こうした現状を踏まえ、電気街のパーツショップのなかには自社ブランドのオリジナルパソコンを前面に押し出したり、独自技術を駆使した商材を販売するという動きが出ている。「ドスパラ」を運営するサードウェーブは、オリジナルブランド「Dプロ」を立ち上げ、マウスやキーボードといったパソコン関連機器の市場投入など、「当社の店舗でしか購入できない商品を増やしていく」(永井正樹取締役)方針。

 現段階では、パソコン関連機器の開発のみだが、「今後は、デジタル機器全般をDプロブランドとして販売していく」と、パーツショップの枠を越えた商品を扱っていく計画だ。

 同社では、パーツビジネスの伸びが鈍化するとみて、オリジナルのBTO(受注生産方式)パソコンの「プライム」シリーズを03年から市場に投入した。「パソコン需要を顧客として囲い込むことに成功した」(永井取締役)という。Dプロを立ち上げたのは、「パソコン関連ショップの枠を越えなければならないと判断した」ためだ。

 主力ビジネスの減少は、その企業に大きなダメージを与えることになる。現状から脱皮し、新しいビジネスに着手することで、競争激化で勝ち組に入ろうとする姿が、そこにはある。(佐相彰彦)
  • 1