秋葉原は今

<秋葉原は今>9.ドスパラ、液晶テレビで売上増狙う

2006/01/23 16:51

週刊BCN 2006年01月23日vol.1122掲載

 秋葉原電気街では、パーツ専門店であるT・ZONEストラテジィの「T・ZONE. PC DIY SHOP」がパソコン本体の販売に着手しようとしているほか、サードウェーブが同じくパーツ専門店「ドスパラ」で05年12月末から液晶テレビの販売を開始した。

 「ドスパラ」の液晶テレビ販売はまずは、1店舗あたり5台以下の在庫に抑えてテスト的に行ったという。扱った商材は、国内外を問わず複数社のブランドで、30インチ以上の画面に限定した。甲斐元浩・ドスパラ事業部MD課マーチャンダイザーは、「1月中旬の時点で、すでに全店舗で完売した」と順調な手応えに表情をほころばせる。本格的な販売については、「早急にも着手したい」考えで、「配送や出張設置、リサイクルへの対応などサポート体制を整えていく」という。「自社ではノウハウがない」ことから、サポート会社との提携を進めているようだ。扱うブランドは、「他店との差別化が図れる商材や価格などを踏まえて詰めていく」計画で、パソコン周辺機器の自社ブランド「Dプロ」を冠した販売も視野に入れる。

 パーツショップでも液晶テレビが売れるのは、パーツユーザー以外の来店客が増えているからだ。「ドスパラ本店」では、「“マニア”以外のお客さんが来店する割合は、昨年春頃まで全体の1割にも達していなかった」(亀田光功店長)という。ところが、駅前の超高層ビル「秋葉原ダイビル」の稼働や、ヨドバシカメラの秋葉原進出などで、「パーツマニアではない“一般的なユーザー”が電気街に増えている。年末年始には、来店者の3割くらいがこうした一般ユーザーだった」という。

 また、「従来のパーツユーザーが、液晶テレビを購入していくこともある」(甲斐マーチャンダイザー)という。これは、デジタル家電の需要が広がっていることに加え、「秋葉原電気街のコアユーザーといっても、必ずしもパーツだけに関心があるというわけではないことの表れだろう」とみている。

 パーツユーザー増加の可能性については、「自作パソコンの初級者や中級者は、パーツとBTOパソコンとの価格比較で割安感のあるBTOに流れる傾向にある。そのため、パーツユーザー自体は昔のように増えることはない」と否定する。(佐相彰彦)
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