店頭流通

デジカメ登場15年、変革の時 時代は「デジタルイメージング」へ

2010/03/11 16:51

週刊BCN 2010年03月08日vol.1324掲載

 コンシューマ向けのデジタルカメラが登場してから今年で15年。この間、カメラの主流は銀塩フィルムからデジタルへ移行し、これに伴ってユーザーのフォトライフは大きく変化した。いまや、誰もが静止画・動画を自在に操り、楽しむという本格的な「デジタルイメージング時代」を迎えつつある。ただ、最近のデジタルカメラと関連市場は緩やかな下降線をたどっており、メーカー各社は、写真映像関連と製品・サービスを融合し、ユーザーニーズに適合した世界を構築していく必要に迫られている。こうしたなか、3月11~14日の4日間、横浜市のパシフィコ横浜でフォトイメージングの総合イベント「CP+」が開催される。出展メーカーのうち、昨年、不振を極めた感のあるコンパクトデジカメを中心に、注目の5社の「デジタルイメージング時代」に向けた製品戦略を探った。

ユーザーの変化を捉えるマーケティング展開
 

カメラ本体

ライフスタイルを想定し製品化
買い替え促進がポイント


 デジカメの歴史は、1981年にソニーが磁気記憶方式による「マピカ」を発表したことが始まりといわれる。ただ、この製品は市販に至っていない。その後、キヤノンが86年に「RC-701」を市販したものの、一式で500万円と高額で個人向けとはいえないものだった。95年になって、カシオ計算機が「QV-10」を発売し、ようやくコンシューマに身近な製品となった。それでも当時の定価は6万5000円。ここが起点としてデジカメが普及への道を歩み始めたとして、「CP+」は今年で「デジカメ登場15年」としている。
 


 “歴史”を動かしたカシオ計算機は、「2010年のコンパクトデジタルカメラ市場は、数量・金額ともに、緩やかに下降線をたどるだろう」(重岡正之・営業本部戦略統轄部QV戦略部次長)と予測する。そのうえで、「現在、コンパクトデジカメは買い替え、買い増し需要が8割を超えている。ユーザーは、自分がカメラをどういうシーンでどう使うのか、すでに理解している」(同)とみている。デジカメ需要を生み出すためには、ユーザーのライフスタイルに応じて使用シーンを想定しながら製品を開発・投入し、分かりやすく提案していくことが重要と捉えているのだ。

 例えば、3月12日に発売する新製品「EXILIM EX-H15」は、1回の充電で約1000枚の写真を撮影できるロングライフバッテリが特徴の一つ。「旅行に持っていくのに最適な製品」(重岡次長)と、使用シーンを提示しながらアピールする。
 

カシオ計算機のコンパクトデジカメ「EXILIM EX-H15」

 カシオ製品の特徴である「高速連写」と「ハイスピードムービー」の両方を搭載する「HIGH SPEED EXILIM」シリーズは、単にスポーツなどの決定的瞬間を記録できるだけではない。ハイスピードで連写した写真を重ね合わせて、手ブレ・被写体ブレを抑える機能をもち、「ユーザーがハイスピードで撮影したことを意識することなく、最高の1枚を撮ることができる」(重岡次長)。機能だけでなく、結果を示しながら、連写に馴染みのないファミリー層などにも訴求していく。

 カシオ計算機は、2009年のBCNランキング・コンパクトデジカメ販売台数シェアで、僅差の2位に甘んじた。だが、今年は巻き返しを図る。まず1月下旬には、腕時計の独自技術である「Gショック」を生かし、耐衝撃・防水・防塵性能と斬新なデザインをもつ「EXILIM G EX-G1」を発売した。広告宣伝を幅広く展開するだけでなく、マラソンなどのスポーツイベントに貸し出して体感してもらったり、アウトドアブランドとコラボレーションして、共同でグッズを企画・製作している。

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