店頭販売奮闘記

【店頭販売奮闘記】バッファローコクヨサプライ(前編) 本部商談の強化で棚を確保

2010/08/05 18:45

週刊BCN 2010年08月02日vol.1344掲載

 このコーナーでは、店頭販売に注力するメーカーの販売第一線の動きを紹介する。(前編)では各社の販売戦略や体制を、(後編)では現場の奮闘ぶりを追う。

羽石基之
取締役
営業本部長
 2007年8月、メルコグループのバッファローのサプライ部門と、コクヨグループのサプライ事業会社アーベルとの統合によって、バッファローコクヨサプライが誕生した。

 統合時の大きな課題は、販売店の旧アーベルの棚を維持しつつ、新ブランド「バッファローコクヨサプライ」の棚を拡大すること。グループ会社のCFD販売から移籍し、営業部隊を率いる羽石基之・取締役営業本部長は、「サプライビジネスで売り上げを拡大するために最も重要なのは、棚を確保すること」と断言する。しかし、販売店にしてみれば「グループ会社なのだから、どちらかに売り場を絞ってほしい」というのが本音。実際に当時の売り場は、旧アーベルの「1」に新ブランドの「1」を加えて「2」というわけにはいかず、統合によって「1.6」程度に抑えられていた。バッファローコクヨサプライは、「1+1を2以上にする」を合言葉に、社が一丸となって売り場の確保に邁進してきたのである。

 「1+1=2」を実現したのは、09年の後半。その原動力となったのは、販売店本部との商談の強化だった。それまでの営業は、店舗の現場レベルで商談を進めるスタイルで、営業担当者が長年通って親しくなっている店舗は大丈夫でも、個人的な関係が構築できていない店舗ではなかなか商談が進まないという弱点があった。そこで羽石本部長は、営業スタイルを変革。企業間の関係強化を目的に、販売店本部との商談に力を注いだ。今年2月には、販売店本部との商談を担当する「コンシューマ営業グループ」と、店舗への営業を担当する「リテール営業」の二つに組織を分けるなど、本部レベルと現場レベル、両輪の営業体制を固めている。

 「ライバルよりも少ない人数で、効率よく販売を伸ばす」(羽石本部長)。2009年の年間販売台数シェアで「BCN AWARD」を受賞したIP通信機器、カードリーダー、HUBに加え、「今年はマウスも狙う」と意欲満々だ。(田沢理恵)
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